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受験市場と私学市場を結ぶ人

☆受験市場にいながら私学市場のスタンドポイントから鳥瞰することが出来る人との出会いが増えた。やはり何かが変わる兆しなのだろう。

拙著を読んで、こんな感想を贈ってくださった受験生の保護者がいる。

本間さんの視点や評価を勉強させていただき、中学受験の全体像や、こうありたいという本質がなんとなくつかめてきました。親子共々努力していきたいと思っております。

☆大衆化された中学受験市場の中にあって、受験市場優位の視点を鵜呑みにしない受験生の保護者もいる。この数が増えることが、受験市場と私学市場の矛盾を解決する糸口だと思う。

☆もちろん、矛盾はなくならない。むしろそのほうが、市場は活性化するわけだから、それはそれでよいのだ。ただし、矛盾を解決する糸口を見出したいという人々が多くならなければ、良質の矛盾を生みださないから、市場は冷え込んでしまう。

☆かつては、保護者自身の中に、塾に行くことを抵抗を感じながら、やむを得ないという風潮もあった。それが大衆化によって、受験市場は活性化したし、私学市場も活性化した。

☆しかし、98年・99年私学危機以降は、受験市場の勢いが増し、大衆化は一挙に広がった。塾に行くことは当たり前になった。価値観が一色になると、その市場は衰退する。私学市場が、受験市場の影響を多大に受け、依存せざるを得ない状況に万が一にもなったら、私学市場も衰退する。

☆ところが、2008年秋以降の経済危機は、社会構造の変換期でもあり、産業の興亡の格差がはっきり現れた。受験市場もその例外ではなかった。ところが、私学市場は、産業の市場ではなく、むしろ社会的起業やNGO、NPOの流れに近いために、独自の展開が可能だったということも見える化された。

☆そのために、受験市場の中には、私学市場のポジティブなステークホルダーとして位置づけられる動きがでてきた。つまり、偏差値のみで学校選択を考えないという意味でポジティブなのである。偏差値や大学進学実績というスコアに依拠する学校選択価値観を持っている塾もあるだろう。いやそんなことはないと言っても、御三家にたくさん入れなきゃと思っているうちは、結局そうなのだ。

☆しかし、塾の中には、中学受験という市場を、未来を創る人材として生きる準備としてとらえ、子ども一人ひとりにそれを果たすことができる私立中高一貫校はどこなのか、保護者と生徒と対話しながらいっしょに見つけて行こうというところが出現していると思う。

☆感想を贈ってくださった保護者も、そこから逆算して、塾選びを果たしたという。大手進学塾ではないから、派手な合格実績はないが、きっちり私立中学の進路を歩むサポートをしている。

☆そことは違うが、学明舎という塾がある。母体は学研だから、将来的には大手になるのか。代表の桑名誠氏も、話を聞いていて、おそらくポジティブな私学市場のステークホルダーとして役割を果たそうとしているように思う。

☆6月の私学の先生方を招くイベントの趣旨もそれに近いように思う。合格一路と未来を生き抜く豊かさを身につけることを統合する学びを生み出そうとしているのだろう。

☆こういう塾が増えることは大いに歓迎である。もちろん、茨の道ではあろうが、多くの人々に期待されるだろう。

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