立教女学院で育つ自由の精神②
☆のびやかで自由な精神が育つことは、実は科学にとって重要な条件である。自由というと、どこか政治や経済、思想のキーワードに聞こえるが、科学ほどの自由獲得史の立役者はいないのではないだろうか。
☆好奇心、オープンマインド、疑問は、科学的なものの見方の重要な構成要素であるが、大前提は学の自由が保障されていなければならない。科学を善に寄与するために、権力者の意のままになってはならないのは、歴史を振り返ればすぐに了解できるだろう。
☆そういう意味で、立教女学院の各学年のカリキュラムの目標設定、特に高2の「見抜く力を見つけよう」、高3の「本当に重要なことを見分けよう」というのは、学の自由を生徒1人ひとりが自覚する優れた着想だと思う。
☆そして、それを実現するのに、6年間を通して、「ARE学習」という発想力と批判的思考力と表現力を養成するプログラムを構築したのは、立教女学院の生徒の知性と感性を、さらに引き出ししているのではないだろうか。
「ARE学習」→「中高一貫校サーチ」参照。
☆卒業論文の内容について、上記「中高一貫校サーチ」にはこんなコメントが書き込まれている。
宝塚歌劇「エル・アルコーン」の話題から、善悪の彼岸に立つヒーローに憧れる多くの人の生きることへの想いを掘り起こす思考と展開。新渡戸稲造の「武士道」の近代日本国家形成のプロパガンダの側面を批判しながらも、日本文化の固有の武士道を歴史的に検証し、未来のキーワードに設定していく洞察力。ロックやパブの背景にある世界の痛みをアイルランド音楽がいかにクリアしてきたかまたいくか、その役割を明らかにしていくリサーチ力。在校生の卒業論文編集は実にスリリングです。
☆他に「F1氷河期」という論考もある。ヨーロッパのように、文化としてのF1ではなく、戦後の経済復興の道具として担ぎあげられたのではないかという文化の違いや資本主義経済の盲点を突いている。
☆見抜く力、本当に重要なことを見分けるとはこういうことだというのが、実によく理解できる論文集である。
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