白梅学園清修中高一貫部の本気
☆白梅学園清修中高一貫部の副校長柴田先生にお会いした。昨日EU研修の旅に生徒とともに飛び立ったようだ。
☆それにしても柴田先生は、私学関係者や塾関係者の中では、超人ではないかという言われているらしい。
☆実際、このEU研修に旅立つ四日前に帰国生募集アメリカ横断ツアーから帰国したばかりなのだから、それだけでもすごいと思うが、どこに行っても活躍ぶりのエピソードが絶えないのが柴田先生のキャラクターなのである。
☆ロサンゼルスからの帰国機内で、突然病気で倒れた方がいたそうだ。機内は騒然となり、放送では、どなたかお医者様はいませんかと、右往左往。
☆しかし、そんな騒然とした中、スッと倒れたかたの頭部を保護し、周りで騒いでいる方が余計倒れた本人のメンタルに負担をかけるので、周りを制している人の姿があったそうだ。それが柴田先生。病気の方はそうしているうちに快復されたそうである。
☆一躍ヒーローになり、客室乗務員からは、お医者様だったのですねと感謝されたそうだが、いえ、保健体育の教師ですと。もともとラグビーをやっていたので、その豊かな経験を生かした動きだったようだ。
☆そんなエピソードを、柴田先生本人から聴いたのではなく、同行した他の学校の先生方複数から聞き及んだのだ。
☆柴田先生がヒーローであるかどうかは、ご本人はまったく興味と関心はないだろうが、間違いなく私学人として頼もしいリーダーの一人であることは確かである。
☆そしてこのスッと身体が動くサポート態勢こそ、清修の生徒を見守る眼差しと言動そのものである。
☆EUの旅は、清修の理念である自分なりのそれでいて世界に通用する価値尺度、正義の尺度、つまり知の座標軸を身につける旅であるという。それがなければ自律ができない。自律なき自由は、他人に操作されているのに気づくことができない貧弱な知性であるとも。
☆自由と正義のバランスをとるのは、他者に言われてではなく、自ら決めることなのだ。その自律はしかし、体験の中で試行錯誤する過程でしか培われないだろうと語られる。
☆そしてその体験は、自分とは違った立ち位置にいる人々や文化と対話することなのだと。だから英国やEU研修に生徒を導くのだということだ。
☆この対話は、チャットレベルでは、ヒントはあるが視野や視点を豊かに出来ない。それゆえ、リサーチをし、編集をし、プレゼンする過程を、入学時点から多くのチャンスをつくっている。さらに今回のEU研修後、論文作成もするそうだ。
☆この論文作成のために、資料を読む目を身につけるトレーニングを社会科で、論文を書くスキルを国語科で、データを駆使する技術を数学で行ってきたそうだ。
☆そして、今、国語科では新たにプロジェクトが立ち上がり、この言語活動と現代思想のものの見方を身につけるトータルなシラバス再構築の作業に入っているという。
☆さらにその舞台裏では、先生方が大学入試問題の研究の研鑽を積んでいるという。発想と豊かな心根を身につけ、それを社会にどのように生かしていくか、実現の戦略も必要なのだろう。
☆自分の存在感を実感し、自律してJusticeを発揮していくフロンティア精神。これは大正デモクラシーに影響を受けた白梅学園の理念である。そしてその中でもJ.J.ルソーの発想は重要である。この発想はEUやアメリカのプラグマティズムに今も脈々と継承されている。EU研修は、欧州研修ではない。今まさに混迷し騒然としているが、世界共和国のルーツであり、清修のルーツである啓蒙思想の現在がEUでどうなっているのかを体験しにいくのである。
☆そして帰国後、そこで気づいた自分の座標軸と人生のテーマを探求する進路実現のための戦略が準備されている。不易流行とよく言われるが、不易の理念とそれを実現する流行としての戦略。その柔軟な姿勢を体現しているのが柴田先生であるまいか。
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