かえつ有明の新しい教育熟す②
かえつ有明の新しい教育熟す①のつづき。
☆芦澤副教頭は、かえつ有明になってからの一期生をずっと担当してきた。新しく男子生徒が入学してきて、男子と女子の生き方・考え方・感じ方すべて違うのに驚愕しつつも、思春期の紆余曲折を乗り越えて成長していく生徒達と毎日暮らしてきたのである。
☆したがって、その言葉1つひとつに想いが形になっていて、説得力があった。生徒の気持ちをもっとも明確に理解し、互いに共鳴できる時間は、宿泊合宿である。もちろん、学校の通常の生活における生徒の一挙手一投足にも、生徒の成長の変化があるわけで、それを見逃さないために、かかわりを密にしてきたわけだが、説明会のプレゼンでわかりやすいのは、各学年の宿泊行事の話である。
☆そういう聞き手の理解をサポートする気遣いにこそ、生徒とどのようにコミュニケーションをとっているかの奥義があると思う。
☆ともあれ、中1ではサイエンスプログラム、中2では民家宿泊体験、中3では奈良・京都修学旅行とパラオ研修である。
☆サイエンスプログラムと修学旅行には、実はサイエンス科で培われた「探求・議論・発表」のサイクルが埋め込まれているということだった。そして、民家宿泊体験とパラオ研修では、未知の世界でどう共に生き、不足した環境の中でサバイバルスキルを発揮するのかという興味深いかえつ有明独自のプログラムの話がなされた。
☆ただ、最も重要なことは、思考と感情と行動の最適化を思春期を通過するときにどのように生徒1人ひとりが決着をつけていくかということである。思考はテスト問題を解くときにだけ働くのではない。感情は自分のモチベーションを高めるときにのみ必要なわけではない。行動はだれかに促されて初めて起こすのではない。
☆自分が直面した心臓がバクバクし、未知のものにワクワクしながらも恐怖してしまう局面にぶつかったときに、どう思考するか、どのような感情に調整するのか、何をするのか決断しなければならない。そういう原初的な体験を、つかず離れずいっしょに生徒と歩むからこそ、6年間生徒がどう生きていくかサポートできるのだ。
☆そんな熱い想いが伝わってきた。大学入試の問題をどのように思考し、感情を抑え冷静になり、効率の良い受験勉強を行えばよいというのならば、教育はいらない。人生の問題に思考と感情と行動をどのようにぶつけていくことができるのか。それを生徒といっしょに思考錯誤するのが教育なのではないのか。静かに大きな声で話す芦澤先生の腹の底からそう聞こえてきたような気がしたのは、私だけではなかっただろう。
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