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鴎友学園女子研究の必要性②

鴎友学園女子研究の必要性①のつづき。

☆鴎友学園女子のたいせつにする創造性とは、倫理ベースの創造性であり、倫理なき創造性ではないことを確認した。

☆このことは別の言葉で置き換えれば、倫理=自由であり、倫理なき自由=リバタリアニズムとは区別しなければならないということである。共に生きながらも相互に自由であるということだろう。

☆そして、ハーバード大学のサンデル教授に倣えば、これこそ自律なのである。自由なくして自律はないが、それは共に生きるという倫理を自分で選択することによって達成される。そしてその自律は創造性を生み出すのである。創造性のないところに自由は存在しない。しかし、倫理は存在する。ただし、自由なき倫理は、強制になる。

☆強制ではなく共生にもとづいた自由。これがどのように生まれるか、それは鴎友学園女子の教育実践にヒントがあるのであるが、まずは気になる大学進学実績という結果をみてみよう。

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☆明かに急上昇している。このグラフは、「私立中高の挑戦 未来を創る教育」という番組で、西川校長にインタビュー収録したときにいただいた資料である。15分番組の編集の関係上、番組では放映されなかった部分なので、ここで紹介しておく。

☆さて、大事なことは、このような実績の背景にある大学選択の理由である。そのグラフデータもいただいたのでご紹介しよう。

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☆圧倒的に「学問内容」で選択している生徒が多い。これは何を意味しているかというと、鴎友生が自律しているということを示唆する。というのも「就職に有利」「資格取得」「ブランド志向」「親に言われて」という理由は、他者の目線に配慮していることであり、そのような理由を積極的にもちだす生徒は極端に少ない。

☆このように「学問内容」、つまり何を自ら探求していくのかを決断して大学を選択できるようになるには、学問とは何か、学問にはどんな使命があるのか、学問にはどんな種類があるのか、それぞれの学問でどんな人が活躍しているのか、多様な体験と幅広い読書によって、日頃から高感度なアンテナを立てておく必要がある。

☆個人でもできることだが、これだけの多くの生徒の傾向となると、そこには教育の質がなければ、こうはならないだろう。いずれにしても、倫理ベースの創造性が育成されていないならば、大学進学実績は、単純に進路先の結果しか意味をなさない。大学進学実績と学問内容による大学選択という二重らせん構造が、6年間の教育によって織りなされているのが鴎友学園女子の教育の魅力である。

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