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広尾学園の土台は科学的思考①

☆2007年に誕生した広尾学園。その時入学した高校1年生の実績が出たが、順心時代の結果と比較すれば大飛躍。生徒募集も高人気。それを象徴するかのような広尾の街のランドマークとしての新校舎建設も着々と進んでいる。

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☆学校説明会に訪れる保護者や教育関係者は、広尾の教育システムや環境を目の当たりにして、口々に「学校でないみたいだ」と称賛する。

☆この溜息の意味は何だろう?

サイエンスラボの高頻度の活用だろうか、

コーチングベースのプログラムを教師全員がデザインし運営できるように研修している教師の質向上システムであろうか、

生徒同士と生徒と教師のコミュニケーションのシナジー効果を引き出す環境だろうか、

生徒からも保護者からも本気を引き出す面談システムだろうか、

中1段階から教材やテストに早稲田や東大の入試問題を編集していく合理的な思考プログラムだろうか、

いきなりインターナショナルコースの授業にデビューさせられ、そこで英語を学びたい意欲を生み出すLearning to doをアレンジできる教師の力量だろうか、

クラス通信誌を競って書き合い、メッセージを日々送り続ける教師たちの情熱だろうか、

生徒たちが格段に興味を持ち、家に帰って、今日の授業は楽しかったと歓喜する魅力的な授業デザインだろうか、

生徒達が、自ら自分の学びの習慣をチェックし、学びの方法を確立していく指導システムの存在だろうか、

☆数え上げていけば切りがない・・・。おそらくこれらすべてを見て、直感的に「学校でないみたい」と感動するのだろう。

☆たしかに筆者もそう思う。しかし、それ以前に理事長・学園長の大橋先生のプレゼンテーション能力と柔らかいリーダーシップ、そして何より科学的思考力に驚嘆する。大橋先生は、独りプレゼンテーションをするわけではない。語りながら、質問に応えながら、切れ目なく、緩急のリズムを生みだしながら語るスタイルだが、その話に阿吽の呼吸でコマ目に動画を映し出せる先生方が周りにいる。

☆広学マインドのプラグマティックなまでの実践的浸透の様子を収録している短い動画が、あらゆる教育の場面を構成しており、必要に応じて、動画をミックスしながら、コミュニケーションをとるチームがそこにあるのだ。

☆学園長とアドミッションオフィサーと教師の三位一体。さりげなく言ってみたが、中高でアドミッションオフィサー専門機能を設置しているのはほとんどないのではないだろうか。

☆いずれにしても、抽象的な教育内容の説明ではなく、目の前で、目を輝かせている生徒たちと一体になっている活動の意味を解き明かしていく、学園長のプラグマティックな語りは説得力がある。

☆そして、その語りの背景にある思考方法は、仮説的に目標を掲げ、実践を通し試行錯誤しながら、軌道修正を日々おこなっていく科学的思考方法である。この思考のスタイルをすべての生徒と教師が学べる環境を創っているのである。

☆だから、大学入試問題が、受験勉強という本筋でない学びを先導するのだというような常識的なネガティブな幻想を振り回さない。むしろ、ポジティブに、学問の最先端の成果が織り込まれている大学入試問題を精選する目を養うための教員研修を行っている。

☆実はこれは開成の先生方と同構造の思考様式である。もっというならば、科学の最前線を小学生や市民でもわかるように、教材をつくることを提唱したアメリカ・プラグマティズムの重要人物の一人であるJ.S.ブルーナーの考え方に一致するし、イギリスのロイヤル・アカデミーの科学コミュニケーションの手法でもある。

☆このような考え方はどうして生まれてきたのか?大橋先生に尋ねてみたところ、

「生徒が深く考えることを楽しいと思えるようになるにはどうしたらよいかを、現場で日々考えているだけですよ」と。

☆まさに科学的思考そのものではないか。

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