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2012年の変化にいかに対応するか⑤

2012年の変化にいかに対応するか④のつづき。

☆産経新聞(2010年7月3日)によると、

今週(6月29日)にピークを迎えた株主総会。安定株主中心で質疑応答がほとんど出ない「シャンシャン総会」は今は昔。ファンドを中心とした「モノ言う株主」の台頭、企業側の情報開示の進展により、個人株主側の活発な意見が目立った。業績や配当など厳しい質問だけにとどまらず、スポンサーを務めるテレビ番組やエスカレーターの乗り方への提案など、虚をつかれるような内容も。

☆1億円以上の報酬をもらっている企業の役員の情報が開示されたのだから、黙ってはいられないということもあるだろうが、実際にはコミュニケーションのスタイルがフラット化している流れなのだと思う。

本シリーズの1回目で、「官僚的客観主義近代から市民的主観主義近代へ」と語ったが、まさにその流れである。企業側がデータを提出して、客観的だから問題ないでしょうと言っていればよかったのだが、今日は、客観的こそ疑わないとねという批判的視点が市民側に備わってきた。

☆対する企業はどうするか?まだまだ想定問答集を造って切り抜けようとしているところは、官僚的客観主義的名残があるけれど、そのうちに株主の提案をたんなる主観として無視するのではなく、インター主観として統合していくに違いない。これは市場の原理に適合する流れである。

☆同紙によると、世界のゲーム市場をリードする任天堂の株主総会では、こんな質問があったようだ。「息子がゲーム好きで勉強に支障が出ている。最適な利用方法はないものか」。これに対し、岩田聡社長は、

「ゲームのために生活のバランスを崩すことは、社会需要性を高める上でも問題。ゲームの中でさまざまな工夫も行っているが、親子で対話をしていただくことも大事。中長期的な問題として真剣に考えている。」

☆と回答したようだ。このやりとりに、ビジネスチャンスがあるじゃないか!ゲームと勉強時間のワークシェアリングを行うは難しい。だったら、ゲームで遊びと勉強も両方できるようにしようという流れは、当然あるだろう。もちろん、すでにあるのだが、たとえば、小論文仕上げゲームなどはまだないだろう。

☆知識を覚える便利なゲームソフトはあるが、小論文のように考えるゲームはそれほど出回っていないのではないだろうか?ところがだ、最終的には小論文だってスキーム知識でいくから、ゲームは可能である。

☆そしてこれができたら、当然親子で対話ゲームができるはずだ。このゲームができれば、自分たちの対話のスタイルを分析することも出来るようになるから、人間関係づくりもゲームでシミュレーションできるようになる。

☆しかも、そのシフトはiPhoneに載ることになるだろうから、リアルとサイバーが統合されて本当の意味でのバーチャル空間ができる。バーチャル空間は、インターネットの中にあると思われているが、実は脳神経内。リアルとサイバーの両方を脳神経内で処理するというのが本当のところではないか。

☆それはともかく、かように主観主義とはあくまで独りよがりなあるいは恣意的な主観主義ではなく、インターな主観主義なのである。主観と主観が排除し合うのではなく、協力をして主観を大きくしていく。この過程こそがデザインだし、美学的なのだが・・・。

☆インター主観が認めたものが客観と呼ばれるにすぎないのである。したがって、押し付けれられた客観は、実はそれもまた主観に過ぎない。

☆客観もまた流転するのである。主観は言うまでも流動的だ。だから、常に対話が必要なのだ。インター主観を固定するためにではなく、共に生きるというのは、すべてが成長するということなのだ。

☆インター主観をともに生きようとする市民は、村人ではない。グローバルな視野を持たざるを得ない。したがって、市民的主観主義近代とは、冗長な言い方をすると、世界市民的インター主観主義近代ということになる。

☆そして、その教育基盤はクオリティスクールとしての私立中高一貫校の教育の中にはあるだろうというのが、筆者の仮説であり期待なのである。

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