順天中の先進性
☆順天中の長塚校長の見識・学識は広く深い。それゆえ、時代の精神に耳を傾け、子どもたちの未来を見通すことができる。1975年に順天に奉職して以来、そのことをずっと探究し続け、それが順天で教育的成果をあげている。
☆しかし、その教育的成果は、都立の進学指導重点校のように、難関国立大学に15名以上合格させようという目標を設定し、達成することではない。
☆もちろん、そのような社会のニーズにもきちんと答えるが、目先の欲望ではなく、人として時代とどうかかわって生きるのか、いわば時代の要請に応える人間作りの成果のことを意味しているのである。時代の要請、それは精神や社会の根っこである。
☆このビジョンを、都立の進学指導重点校と重ね合わせると、次の座標系のようになる。いかに大きさが違うか一目瞭然だろう。
☆この座標系は、長塚校長の考え方をマップ化したものである。縦軸は「進路指導」、横軸は「学習指導」を表している。
☆長塚校長は「進路指導」を、「発達論」と「適性論」に分け、「学習指導」を「経験主義」と「系統主義」に分けて整理して、順天の教育を形成している。
☆「発達論」は、生徒の人間としての生き様を、いま、ここで、そして未来に向かって共に悩む教育である。「適性論」は、いわゆる進路先のマッチング論。
☆「経験主義」は、J.デューイのようなプラグマティズムに基づいた科学的学びの理論で、わかりやすくいえば、思考力・発想力育成のための学びである。「系統主義」は、知識の体系を学ぶものであり、学習指導要領もこのグループである。もっとも学習指導要領は、今では知識配列表になってしまっているが・・・。
☆これを座標系にすると、20世紀的な社会のニーズに応えるのは、第3象限であり、21世紀的な経済ニーズに応えるのは、第4象限である。しかし、人間全体の生き方を考えるとき、社会経済的ニーズにだけ目を向けるのではなく、時代の精神の要請全体に耳を傾ける必要がある。
☆知識を難関大学に入るために活用し、そこに合格することにより、社会を牽引するリーダーになるのだという都立の進学指導重点校の考え方も、わからないわけではないが、それはしかし20世紀型経済的ニーズに過ぎないだろう。なぜなら、誰も難関大学にはいって、社会を牽引するリーダーになれるとは、考えていないからである。
☆すでに、都の進学指導重点校の教育政策は、時代錯誤なのだが、だからこそ、すでに順天の広い視野と先進性の卓越性が浮き彫りにされるのである。順天は≪私学の系譜≫の1つの有力なモデルではあるまいか。
☆今後、この座標系を「長塚モデル」と呼びたい。
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