« 未来の学びプロジェクト② | トップページ | 東京私立中高協会 選抜実施要領発表 »

ユヌス氏 ベネッセの教育の贈り物

☆本日13日、東京大学情報学環の福武ホールで、「ムハマド・ユヌス氏と中学生の対話」が催された。

☆ユヌス氏の基調講演とそのスピーチを聴いた中学生からの質問へのユヌス氏のコメントというスタイルのスペシャル・イベントであった。

☆ユヌス氏の講演もすばらしかったが、コメントが丁寧だったし、中学生とのフラットなユヌス氏の対話は、なるほどノーベル平和賞受賞者だと実感。

☆この場に参加できた中高生は、なんて幸せなのだろうとも感じた。というのも、いつものコミュニケーションスタイルとは全く違う体験ができたからだ。ユヌス氏の人柄とコミュニケーションスタイルはぴたりと合っていた。オープンで余裕があって、抑圧観や操作性を感じさせない姿勢は、なかなか最近の日本人には感じることができない。

☆利益を得るためにではなく、社会的な痛みをいかに解決するかを究極の目的として、そのためにイマジネーションを発揮すれば、自ずと道は拓けるのだというゆとりと確信こそグローバルな姿勢だと感じたに違いない。

☆クリエイティビティとイマジネーションとデザインなんだよとユヌス氏は語りかける。日本人だったら、そんなことより何をやるかだよということにすぐになる。能書きはいらないと。

☆ユヌス氏は、いやいや想像力こそ実行力のはじまりなのだと。想像できた瞬間に、出来るのだよと。ここは深い。出来ない想像は想像ではないということだ。アイデアを生むと同時に、そのアイデアに誰がかかわってくるのかイメージできるというのが想像力なのだろう。独りよがりでない想像力は、同時に実行力。

☆このワープ感は、わたしたちにはなかなか体得できない。基礎基本のあとに創造力やイマジネーションをトレーニングするとなる。トホホなのは、それが学校教育法に、条文で規定されていることだ。

☆そりゃあ日本の子どもたちはそういう大人になるなぁと改めて悲しくなった。それでも、参加した中学性は果敢に質問していた。たいしたものだ。

☆ただし、各出身校の校風や理念が質問する生徒の発想に反映しているのがちょっと気になった。ここまで学校の教育の影響力はすさまじいのかと。

☆だとするなら、教育現場にもっとユヌス氏のような人材が配置されてもよいのにとも。ああ、それから質問の立ち位置が普遍的でないものが多かった。自分の立ち位置から放たれたものが多かった。これは自由に発言しなさいと言っても、自由の枠組みを参加者とシェアしながら話す姿勢がなければ、議論する意味がないと同様の構造だったような気がした。もちろん、一部の学校の代表の発言には感心させられた。

☆福沢諭吉が日本人は議論の本位をまず学ばなければねと言っていたのはこういうことかと。学校教育で議論をトレーニングする場はないのだから、しかたがない。ディスカッションとはデモクラシーということなのだから、日本では無理か・・・。

☆ともあれ、「想像してごらん、そこにチャンスがある」というユヌス氏の言葉は、参加した中高生にとって最高の贈り物になっただろう。ベネッセの仕掛けはなかなかすてきではないか。

P.S.

イベント終了後、ベネッセの方々が忙しそうだったので、ホールを後にしたら、ちょうどユヌス氏も次の場所に向かうために、車に乗ろうとしていた。まさか応えてくれるはずはないと思ったが、声をかけたら、気さくに応じてくれた。そのフラットさには少し驚いたが、さらに手をさしのべられ、握手をしたときに、手のひらの豊かさにものすごい説得力を感じた。

|

« 未来の学びプロジェクト② | トップページ | 東京私立中高協会 選抜実施要領発表 »

教育イノベーション」カテゴリの記事