麻布学園の文章入門を学ぶ
☆「20歳からの<現代文>入門 ノートをつけながら深く読む」(NHK出版2010年7月)という新書が出版された。著者は麻布学園の国語の教師中島克治先生。
☆残念ながら中学受験生が挑戦するような本ではない。しかし、保護者が読まれるのはよいかもしれない。
☆そうは言っても、この方法を麻布の過去問の文章読解にそのまま適応しようなどと考えてはいけない。
☆麻布に入学してから、楽しみにとっておいてよいのではなかろうか。念のため、ノートを取りながら<現代文>を読むその順番だけ取り出しておこう。
ステップ① 表紙をコピーして貼り、題材を選んだ理由を添える
ステップ② 抜粋、コメントなどノート2ページを大きく使って記す
ステップ③ 要約する(400~800字程度)
ステップ④ 論述する(800~1500字程度)
ステップ④‐2 場合によっては批評する
ステップ⑤ コラムを書く
ステップ「横断」 随所で対話
☆④‐2と⑤、「横断」は、中島先生がシステムとしてこのステップの中に盛り込んでいるわけではないが、各章を読んでいくと、この部分があって、①から④は逆照射されていることがわかるので、独断と偏見でプラスしておいた。
☆さて、ステップ①はだいじなモチベーションである。中学受験生が過去問をやるとき、いちいちそんなことは考えないであろうか?ところがそうではない。過去問のノートをつくるときに、ただ、解答を書き込み、解答合わせをするノートと自分の知のノートは別につくるだろう。
☆自分がどうしてなかなか解けないのか、テクニカルではなくファンダメンタルにこの問題はずっと考えたいという文章は、コピーして貼りつけている生徒もいる。
☆ステップ②の抜粋を整理したり、コメントを書き込んだりする作業だが、これはいわゆるマインド・マップの一種である。中島先生独自のレイアウトがあるが、ブレスト手法がここにはある。
☆ステップ③の要約であるが、第2章の「こころ」を読解するケースでは、卒業生のノートを手掛かりに展開されているので、いわば「要約」のアドバイスが書かれている。「要約」の仕方がこんなにも論理的で、大事なことをまとめなさいという呪文から解放されると感じるだろう。
☆④から⑤は、受験の準備段階ではまあできないかもしれないが、対話で補える。塾の先生との対話が肝である。
☆麻布学園の国語の入試問題の学び方は、「20歳からの<現代文>入門」の前提として「中学受験からの<文章>入門」によるのがよいのかもしれない。ただし、それは書籍になっていない。中島先生のこの書をメタファーとして塾の先生方が読み解く以外にない。
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