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戸板中の創造的な環境

☆戸板中の杉岡校長のお話を、TV収録後のDVDで聴いてみた。すると、なぜ戸板生が屈託のない雰囲気を放っているのか改めてわかった。

☆たしかに、コンピュータールームの稼働率は高く、論理的な編集やクリエイティブな編集をするプレゼンテーションが日常化している。正門から入っていくと芝生の中庭が広がっていて、その空間はオープンマインドの形成に一役買っている。図書室も静かに心の想像の世界を広げる空間である。

☆好奇心、オープンマインド、テクノロジーが有機的につながった知性を形成する環境がセットされている。もちろん、外的環境ばかりでなく、教師自身が「知好楽」ベースの精神をもって、きめ細かく指導にあたっている。精神的環境も充実しているのだ。

☆しかし、何より杉岡校長の言葉の中で、感動したのは、「明るく安定した学校生活」というフレーズ。たしかに、不安と脅威に直面していたならば、どうして考えることに集中できようか、どうして創造的な精神を発揮できようか。

☆この「安定した学校生活」は、戸板生としての誇りや帰属意識によって支えられるのだと杉岡校長は語る。

☆そしてその誇りや帰属意識は、戸板の創設者戸板関子先生とその時代背景という歴史的なものの見方を生徒と共有するマナーの授業で生成されているのだという。

☆これは、ポストモダニズムの時代にあって、目先の利益の乱高下に常に不安な状態におかれ、世界観ばかりか自分も見失いがちな現代にあって、得難いことではないだろうか。

☆この見失われている世界観を回復する思考作業の1つに、生徒自身が拠って立つ場の歴史的意義を了解することがある。教科書に書かれている、自分との関わりが見えなくなった歴史知識ではなく、自分と直接かかわりのある場の歴史を知ること。本物の歴史観。今ではそんなものの見方を、日常生活ですることはできなくなった。貴重な唯一無二の体験を戸板生はしているのである。

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