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広尾学園 最高峰の共学校めざす

☆先週土曜日(2010年7月17日)、広尾学園は説明会を開催。午前午後と2部に分けて行うほど参加者が多かった。両方合わせると1200名は越えていただろう。

☆それにしても参加者をくぎ付けにするプレゼンテーション能力とプログラム、そして教職員一丸となったおもてなしの心は、受験生や保護者のハートをわしづかみにしたに違いない。

☆プレゼンテーションツールが、パワーポイント+動画。トークと図解と短い動画のタイミングのよい挿入は、インターナショナルコースの生徒全員に配布されるPCがマックであることもあって、ジョブス氏のプレゼンを思わせる。これは、一般の私学の教員による発想ではない。

☆しかし、だからといって企業的プレゼンとも全く違う。かなり洗練された手造りの編集になっていることは確かである。演出、編集は明らかに教師による独自の編集である。しかし、発想が何か違う。おそらくIT関連に対するツールの信頼度が高く、法的ルールは大前提だが、道徳的規制はかなり中立的価値観で稼働しているのだと思う。

☆イノベーションへの感覚と情報が豊かだと言えばよいのかもしれない。これは同学園のホームページを見ても明かである。

☆重要なことは、リアルスペースにおけるプレゼンにしても、サイバースペースにおけるプレゼンにしても、大橋理事長・学園長が柔らかい物腰で雄弁に哲学を語っていることである。だから、ブログの更新率も高い。

☆説明会の話題に戻ろう。説明会自体のメインプログラムは3本の柱。大橋学園長、池田副学園長、金子広報部長と3人の話が続いた。他校と違うのは、池田副学園長の話が、他校では校長の話に相当する。教育理念とそれがいかに教育システムに浸透しているかについて説明された。そしてさらにその具体的な授業やイベント、部活などのシステムと入試要項関連すべての話をコンパクトにしかも漏れなくすべてを30分で金子先生がプレゼンした。この部分は他校では数人の先生方で話をするため、重なる部分もでてきて時間効率がうまくいかないところであるが、多数の端的な動画を駆使しながらのプレゼンがその課題を見事にクリアしていた。

☆ということは、池田先生と金子先生のプレゼンで、他校だったら説明会は完結しているのであって、大橋学園長は何をプレゼンしたのだろうか。この差異が広尾学園の他校と違うポイントになる。

☆それはどういう想いで、広尾学園を建学したかというアイデアとインスピレーションとその実行戦略についてのプレゼンであった。

☆組織のトップとして、ビジョンとその具体化のために、117名の専任教員をいかに育成しているのかという話である。そしてそのための戦術として参加型(シェア型)の対話をし続けていることもオープンにした。

☆たとえば、教職員と保護者の信頼関係を築くことは誰でもがすぐに思いつくことであるが、一般のリーダーなら、その方向性を示唆し、研修を行うことで終わるだろう。ところが大橋学園長は、そういうトップマネジメントをすると同時に、現場の先生方と直接対話をし、それぞれの想いを共有していく労をいとわない。それだけではなく、ほぼすべての保護者と対話もし続けるという話である。

☆これは保護者から大橋先生へのリスペクトの気持ちや大橋先生が保護者を大切にしているという思いを共有するフラットな時間であると同時に、保護者と生徒と教師のアイデンティティの形成をコーディネートするフォロワーシップでもあるのである。

☆リアル(対話‐議論‐スピーチ‐共体験)とバーチャル(対話‐説明‐情報発信‐情報の共有)の大胆で細心の配慮を統合した対話空間のイノベーションが、広尾学園の大きな特徴であり、このスタイルは、今のところどこにもない。

☆地政学的な観点からも、グローバルな都市空間に位置している。参加している父親の中にはグローバル人材育成の重要性を痛感しいている方も多いはずで、この対話空間は、日本にはない海外の優れた学校の雰囲気に似ていると感じたに違いない。

☆インターナショナルコースの教育プログラムは、基本的に海外のディスカッションとプレゼンテーションベースのスタイル。論理的思考と批判的思考とイマジネーションを大事にしている。この高次思考の環境を、特進選抜にも浸透させようという意志がはっきり表現されていた。

☆中3卒業時、生徒たちはプレゼンをするが、そのときの言語はすべて英語である。社内公用語が英語という時代、学園長も副学園長も、自らも英語で生徒と語るときが来るであろう。

☆まずは学園長の訓話がそうなるやもしれない。そのとき大事なことは、フィロソフィーだそうである。「ハーバード大学のマイケル・サンデル教授のような政治哲学的テーマには、生徒たちは大いに興味を持ちますよ」と、帰り際にそんな話を大橋先生からお聞きした。

☆広尾学園が育成する生徒の可能性は、本当にグローバルな領域をカバーしている。そのために、あらゆる具体的な仕掛けが完成したというプレゼンテーションであった。

P.S.

もちろん現実的な話も受験生や保護者には重要である。東大をはじめとする国公立大学や早慶上智などの合格実績は、言うまでもなく飛躍することは間違いない。そして海外の大学にも進学する卒業生も恒常的に輩出されるだろう。

それは各種模擬試験や検定試験の結果から、すでに予想されることである。しかし、何よりインターナショナルコースの学びのプログラムのエッセンスが、今後の大学入試の傾向に有益に影響するからである。このエッセンスの重要性に気づいたのが海城学園である。だから、高校募集を廃止し、その分中学から帰国生を募集するのである。

このエッセンスの重要性に気づく慧眼の持ち主である教職員は、私立中高一貫校でも実はまだまだ少ないのである。

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