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白梅学園清修の設計者工藤和美氏注目される

☆教育のクオリティの高い学校の空間は、実に脳神経や感覚によき刺激を与え、身体や心、そしてなんといっても知性に豊かな質感の影響を与える。

☆もともと都市空間や美術館、ファースト・フードの店内の空間は、その目的に応じるように設計されているから、教育空間もその教育の目的に応じて設計されているのは当然である。

☆しかし、教育空間は、その昔、監獄だといわれた。なんと失礼なと思うかもしれないが、管理教育、抑圧的コミュニケーションが教育にとって当たり前の時代があったのだから、そのようなレトリックもそれほど間違っていなかったということだろう。

☆そういう意味では、教育空間を見れば、その学校の教育のビジョンやバージョンなどの質がわかるというものだ。

☆だから、筆者のクオリティスコアの指標に、教育空間が精神と自然と社会を洞察できるトリガーになるように仕掛けられていることという点が入っている。

☆精神とは、フラットでオープンな精神ばかりではなく、自分以外のものやことをリスペクトできる荘厳な垂直的なものもなければならない。自然とは五感を磨く仕掛けがなければならないということ。社会とは、個人ベースで作業する空間とチームで作業する空間が用意されているということである。もちろんそれはリアルな3D空間だけではなく、サイバースペースも創意工夫されていなければ、現代社会を洞察することはできない。

☆このような要素が有機的に結び付いている空間の格好のモデルが「大名庭園」である。ITはなくとも、庭園の見立て空間がバーチャルな世界に誘う。

☆そんなことを言っていると、またまた何を酔狂なと言われそうである。「大名庭園」ではなく、イサム・ノグチの庭園と言ったら説得力があるのだろうか。パリのユネスコ本部にあるイサム・ノグチの庭園は、まさに平和のバランスとは何かを象徴している。

☆それはともかく、こういうアート空間と教育空間を結び付けようとする私立学校が増えてきている。鹿島建設や東急建設などは、もともとハワードの田園都市を研究しているはずだから、当然と言えば当然か・・・。

☆私立学校に通わせる家庭の中で、ハイカルチャーを好む家庭層は、田園都市線に多いといわれているが、なるほど田園調布学園や洗足学園などは、庭園発想の教育空間デザインになっている。この田園都市沿線こそ、ハワードのユートピア都市である田園都市構想を展開した都市づくりの成功例だろう。

☆そしてこのハワードこそ、日本の大名庭園を田園都市のプロトタイプにしたのである。

☆そんなわけで、庭園とか田園とかその物としての形ではなく、それを通して精神と自然と社会のエコロジカルなつながりを生きる空間を教育空間としてデザインしているところはどこか、探され始めている。

☆そしてその1つに行きついたのが、工藤和美氏の設計した白梅学園清修ではないのかと言われている。たしかに東大の教授たちもすでに見学に行っているようだ。すごい学校の先生方も見学に行きたいがと・・・。

☆筆者に聞かれても、どう回答してよいかわからないが、教育空間が、だんだんファイン・アート化し、デュシャンやイサム・ノグチ、イームズがおもしろいと思うようなデザインがなされたら、海外からの中等教育レベルでの留学生も増えるかもしれない。

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