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税制改革の2012年問題

☆民主党政権は、財源不足の課題を解決するために、事業仕分けや消費税の問題で紛糾していたり、日銀の金融政策批判などしているが、要は消費税をどのように上げるか、利子率をどうするか、国債を日銀がどのくらい買い上げるかなど、侃々諤々やるということか。

☆政治的には、そうなのだが、しかし、すでに昨年発足している新税制調査会の専門委員会は今年6月22日に、「議論の中間的な整理」のレポートをまとめている。

☆委員長は神野直彦氏。「分かち合い」の経済学を提唱している学者である。基本的には財源を確保しなければ、分ちあいのための環境づくりに財源を使えないのだから、いろいろな手を講じて結果的に増税路線になるのだと思うが。

☆もちろん、委員長の思想が、税制調査会を支配するわけではないだろうが・・・。

☆問題は、オバマ政権も、メルケル政権も、オーストラリアの新政権も、グリーン政治による莫大な税金の投入は、人気がなくなっているという昨今の情況である。

参照)「世界に広がるエコ疲れ ニューズウィーク」

☆かといって、新自由主義のような路線にも戻れない。どうしたらよいのか。ドラゴン桜ではないが、飢餓には魚をではなく、魚の釣り方をということでしかない。

☆財源は出動してよいのだが、ばら撒くのではなく、企業を自立できるサポートをするということだろう。そのサポートは、環境を整えてあげることでもない。サバイバルスキルを育成することなのだ。

☆そのアイデアにもっとも近いのは、今のところムハマド・ユヌス氏に象徴されるマイクロ・ファイナンスというソーシアル・ビジネスだろう。大企業による大きな利益ではなく、小さな起業による社会貢献という幸せの創造。

☆「分かち合い」の経済学も方向性はそちらなのだが、社会的責任ベースの市場が作動することを一番大事であるとは考えていないだろう。やはりばら撒き政策に近いものになるだろう。

☆しかし、この路線は社会的な目先のニーズは欲するかもしれないが、時代の要請からは認められないのではないか。政局も不安である。この路線の転換があり得る。そのときソーシアル・ビジネスの方向に行くのか、反動的に新自由主義に向かうのか。それはチェックし続ける必要があろう。

☆で、なぜ2012年なのか?それは専門委員の任期は2011年9月末までなのだ。インボイス式の消費税のアイデアを持ち出してきているから、政局の動揺にかかわらず、世界の後追いをするだろう。

問題は、インボイス式の消費税を財源獲得を主とする専門委員が選定されるのか、利子率と同様に市場の活性化を図るためにインボイス方式を考案しようとする専門委員が選定されるかである

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