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8月号「中学受験と私学中等教育」から①

☆8月号「中学受験と私学中等教育 (株)森上教育研究所編集発行」の巻頭言は、またもおもしろい。

☆来春の中学受験の募集が拡大する(募集は拡大するが受験生が増えるかどうかはわからない)というトピックや模試の系列化が進むことによって、合否の見通しが効くや否やというトピックまでは、中学受験市場の話題として、この時期の通常通りの情報なのだが、突然私学の人材育成と中学受験市場のトピックには、驚いてしまう。

☆中学受験市場は、偏差値や大学合格実績に価値をおいてきたが、今や日本社会は変化し、キャリアを見据えた評価もできるようなイノベーションを行いなさいというメッセージがこめられている。

☆はっきり具体的な提示はなく、ビジョンだけではあるが、背景なくしてこのトピックはないなぁ。とにかく次のような件(くだり)には、何か具体的な動きをキャッチしていなければ、森上教育研究所は公言しないはずだ。

キャリアそのものがこの数年で大きくグローバル人材にウェイトを置き始めたために、求められる資質に明確な変化が生じている。その最大のものはコミュニケーション能力で、さらに付け加えればリーダーシップであろう。

☆グローバル人材?コミュニケーションの能力?リーダーシップ?なぜこの短い文字数の中に、これだけ密度の高いキーワードが表出されているのか?これでは、経産省や文科省のグローバル高度人材や社会人基礎力の話題が、背景にあるのは明らかではないか。

前者のために言語運用能力が必要であるが、一方では後者のためにはノンバーバルな芸術的感性が求められる。共感能力といってよいかもしれない。

☆ここにはインテルやマイクロソフトの21世紀スキルの話とダニエル・ピンクのモチベーション3.0というかハイタッチ理論が背景にある可能性がある。

これらの能力の獲得には従来の講義スタイルのものよりは、当然ながら発表、表現能力を磨くゼミ・スタイルが相応しい。そうした「変化」をとらえ学校がこれをどこまで真摯に受け止め、育成に成果を上げているか、をよく評価する必要がある。

☆うむ。プロジェクトベース学習あるいは文脈学習のことだし、模擬試験でそんな評価はできないのであるから、PISAや社会人基礎学力の延長上にある新しいテストの準備???という背景が隠れているような気がしてならないセンテンスである。

☆いずれにしても、たとえば駒場東邦や浅野に、桜蔭や豊島岡女子に、<そうした「変化」をとらえ学校がこれをどこまで真摯に受け止め、育成に成果を上げているか>を問うたところで、東大に医学部に入れているのだから、今さらと言われるのではないか。だいいちそのレベルを念頭に置いている保護者は、そんなことに興味がないとこの間保護者にピシッと言われてきたばかりなのだが。。。だいいち森上教育研究所はそういう保護者のニーズを汲み取る路線を肯定してきたのではないか。

☆それがここにきて急にある方向転換をするような巻頭言。いったい何が起こっているのだろう。時代の変化を敏感に察知し、受験市場のベクトルを変換させようという意志の働きなのだろうか。

☆森上教育研究所が新しい動向を評価しなければならないほど、時代は急激に変化しているのだろうか、それとも同研究所の企業コンセプトが変化したのか・・・。それとも巻頭言だけ、花火をぶちあげてみたのだろうか?

☆いずれにしても中学受験市場は変わらねばならない局面を迎えているということか?同誌の巻頭言は、受験市場の何かを反映していることは確かだ。そういう意味でたいへん興味深いのである。

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