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8月号「中学受験と私学中等教育」から④

8月号「中学受験と私学中等教育」から③のつづき。

☆2月2日男子受験校で、昨年対比100%以上の学校を列挙する。

渋谷教育幕張 2

聖光

慶應湘南藤沢

攻玉社2

本郷

明大明治

鎌倉学園

世田谷学園2

桐蔭中等教育特奨

穎明館2

桐蔭

法政第二

順天2A

湘南学園B

獨協2

玉川学園2

獨協埼玉3

明治学院

桜美林

自修館B

東京成徳大2

山手学院B

鶴見大付属難関2

淑徳2S特

明法2午後

佼成学園2午後

横浜隼人2

☆こうして眺めると、それなりに理由はわかるような気がする。理由は各学校様々だが、5つの要因のうちどれかが大きく作用しているか、あるいは複合しているかということになりそうだが、その5つの要因とは、次の通り。

①「理念」の働き方の違い

②募集戦略のテクニカルな要因

③教育の中身であるコミュニケーションとしてのファンダメンタルな要因

④教育の中身を持続可能にするシステムとしてのファンダメンタルな要因

⑤大学合格実績

☆この間もあるミーティングで、どうして本間さんは浅野について熱く語らないのかと質問された。

☆①については理念が授業の中に強く浸透するというより、中立的であるし、2月3日校であり続けるテクニカルな②の要因で人気がでていることは否めないし、③のコミュニケーションはものすごいけれど、というかいわゆる男子が好む先生像の典型であるし、システムとしてはもっとイノベーションがあってもよいと思うし、結局⑤の実績で人気がでていることも否めない。

☆灘や麻布のような学校でなければイノベーションを起こすような人材が輩出されないという割り切りがあるような気がするからである。もっと本質的教育で保護者を魅了してほしいという勝手なおせっかいとしての期待がある。そんなふうに回答したが、そこに居合わせた受験生の母親でもあるスタッフに、そんなふうに母親は考えていないわと一笑に付された。

☆まあ、たしかにそうだろうなぁと思っていると、間髪いれずに、同僚も、本間の考えやアイデアは、受験市場では価値がないということだねと。誤解なきようにという条件がついた。それだけ受験市場における価値観が希薄になっているということではないかいと。ここにもポストモダンの影響が貫徹してしまったということだよと。理念とか本質とかには本音の部分では興味がないのだということのようだ。

☆②と⑤がしっかりしていれば、それでよいのだということのようだ。もちろん、そこがしっかりしていればファンダメンタルな教育の質もよいわけで、その質がどのように生み出されているかについては、分析する必要などないというのが受験市場の本音だろうというわけだ。

☆目先に重点を置けばそうではあるが、ポストモダニズムが行き詰っているこの現状はどうするのか。それは受験市場の知ったことではないと。

☆そうれはそうであるのかもしれない。私学市場の領域の問題なのかもしれない。しかし、この受験市場と私学市場の乖離は、それぞれの市場を小さくすることも確かである。

☆だから、目先のことから、ちょっと離れてみれば、その背景にもう1つの問題がたちふさがっているのが見えるだろう。②と⑤だけでいけば、受験市場も私学市場もともに衰退するという問題である。

☆ナッシュ均衡あるいはパレート最適という考え方のフィルターを通せば、そういうことになるだろう。何かやろうとすると、市場そのものが崩壊してしまうぎりぎりの状態に陥るのである。だから、なにもやらないことが最適なのだ。しかし、そうならないためには、やはりファンダメンタルな領域に立ち戻り、イノベーションを起こすしかない。もちろん市場活性化という名の部分的崩壊はあるのだが・・・。

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