Good Schoolの教育の構造
☆昨年の教頭部会の準備や今年のCSのTV番組の収録でお会いした私学の先生方との対話を通して、自分なりにGood Schoolの教育の構造が図式化できた。今までもいろいろ描いてきたが、今度はわかりやすいのではないかと思う。
☆理念の現代化、つまり見える化するためにはどうするのか。この点に関しては、紙媒体やデジタル媒体、説明会などかなり充実してきたが、実は大学進学実績という結果のみならず、形成的な評価の測る化はどうするのか。プロジェクト・ベース学習などの探求型のプログラムが日常化してきた今日、その必要性が問われている。
☆コミュニケーションが抑圧・同調的ではなく、共鳴共感、フォロアー型にシフトし、感動という気持ちを生み出す説明会は、生徒募集において成功に導くケースが多いこともわかった。
☆そして、最近では学習理論についてかなりしっかり研究が進み、その成果を紀要や書籍という形で公開する学校も出現している。
☆このように建学の精神や理念、あるいはビジョンというものが「みえる化」「きもち化」「はかる化」「りろん化」という四方にバランスよく浸透している学校がGood Schoolである場合が多い。
☆公立学校の場合、独自の理念というものが空洞化していたり、生徒募集戦略を考える必要のない場合、そもそもこの実績結果の「はかる化」以外は機能しない場合が多いので、教育の質がどうなっているかよくわからない場合が多いだろう。
☆公立中高一貫校の場合も、結局は公立小学校からの配分で成り立つ背景があるし、学習指導要領という知識配列型の学習理論を無視できないので、多少の「みえる化」と結果の「はかる化」が行われる程度になってしまうのは制度上しかたがない。
☆さらに、理念の不易流行ということがよくいわれるが、これはどのようにして可能なのか。それは心理学、社会学、経済学、教育学、情報学、IT機器などのイノベーションの導入によって、図のようにバージョンアップすることが不易流行というということも実感できた。ビジョンである理念は変わらないが、イノベーションによって教育の構造はバージョンアップするのである。このバージョンアップが究極に到ると、Good SchoolはBest Schoolにシフトするのである。こう考えるといわゆる男女御三家は、Good Schoolやエクセレントスクールであっても、Best Schoolではない可能性もでてくる。
☆男女御三家が、東大と医学部の大学合格実績を除いても、Best Schoolとしての構造を持続できるかどうか考えてみると、意外にも危うさがあるのではないだろうか。
☆日本を救うためには、クリエイティビティの爆発が必要である。一部の人間ではなく、全国民がそこに智慧を傾注する必要がある。そのためには、東大は、各高校から10名とか20名とかまでしか合格者を出さないという規制をかける。すると、どの高校も勉学に励む環境を創意工夫するだろうし、東大以上の知的環境のある海外大学に本気で留学しようという生徒も表れるだろう。高校無償化は廃止し、そのような冒険留学生に等しく支援するシステムを作れば、グローバル高度人材はすぐにも輩出されるだろう。
☆大事なものは何かを明かにし、それを実現する制度を期待したいが、今すぐには無理なので、Good Schoolを探し続け、紹介することが必要なのだと思っている。
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