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対話のイノベーションが大事だというコト

☆先日、男女別学教育シンポジウムでお会いした何人かの先生方から、サンデル教授の発想のおもしろさについて聞き及んだ。やはり私学の先生方は高感度なアンテナの持ち主が多い。

☆哲学とは対話によって新しい概念や知識を生み出すことであるが、サンデル教授や文科省の熟議の発想や聖学院大学の取り組んでいるワールド・カフェの発想などが広がっているということは、何やら新しい概念が必要とされる時代だということかもしれない。

参照)→聖学院大学vs文科省 本当の対話とは何か?

☆さて、それでは時代はどんな新しい概念を要請しているというのだろう。ソクラテスの饗宴の場面ではないが、対話の場は、いつの世もカフェ的だ。

☆実はここにヒントがあるのではないか。饗宴の場やカフェのような場は、誰も労働しているわけではないのだ。

☆対話する存在こそに価値がある場なのである。民主党になってから「新しい公共」などのフレーズや勉強会が生まれているが、やはりそれは誰かが仕掛けている。だいたい「熟議」という言葉自体、その背景には、新しい民主主義の模索をほのめかしているではないか。

☆もちろん、民主党自体は戦略的に考案しているのだろうが、それは時代の要請に便乗しているだけかもしれない。

☆いずれにしても「労働」の概念が転換する時代の到来なのだろう。ソーシアル・ビジネスの波もその1つである。クリエイティブ・クラスの流れもその1つである。キャリア教育がなぜ今大事なのか。それは実際には労働の概念が変わってきているから、それに対応しなければならなくなっているからだろう。日本の婚活疲れやアメリカの結婚準備講座、フランスの家族制度の変容なども「労働」の考え方が変わってきたからだろう。ニートの問題もそこに原因があるのかもしれない。

☆非常に残念ではあるが、テロの動きは、「労働」の概念の転換の影の部分であるかもしれない。「勤労」「勤勉」「倹約」というプロテスタンティズムが「労働」の概念を構成できなくなってきているのではないか。

☆だから、学習の方法も変わらなければならないのではないだろうか。いずれにしても歴史をさかのぼれば、こんなにフラットなコミュニケーションの広がりは、89年のベルリンの壁崩壊以降の話である。それにIT革命が拍車をかけた。この流れを止めることはできないが、このままいけばコミュニケーション・リバタリアニズム一色になる。そこでサンデル教授に代表されるようにコミュニタリアニズムの復権があるのかもしれない。

☆だからといって、アリストテレスに戻るわけにもいかない。アリストテレス的発想だとしても、新しいコミュニケーションのシステム構築が必要なのである。そしてこのシステム構築こそイノベーションなのかもしれない。

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