私立中高の育成するグローバル人材
☆昨日(8月3日)、CSのTV番組「私立中高の挑戦 未来を創る教育」の最終回の収録を終えた。一般財団法人東京私立中学高等学校協会会長の近藤先生(八雲学園理事長・校長)と日本私立中学高等学校連合会会長の吉田先生(富士見ヶ丘学園理事長・校長)と、「私立学校が目指す国際的視野~世界の壁を越えて」についてお話を伺った。
☆今年4月、経産省及び文部省もグローバル高度人材育成についてのレポートを発表しているが、それによると、産業構造転換や時代を変えながら世界に貢献するという意味でのグローバル人材というよりは、中国を中心とするアジア大市場に向けて従来の経済戦略をいかに拡大できるかに寄与するグローバル人材という意味合いが強い。
☆社会基礎学力と言いながら、どんな社会なのか、それは経済社会ばかりではあるまい。もっと古今東西の人間全体を包括した社会でなければならないはずだ。
☆しかし、どうも経済的領域という限られた範囲でのグローバル人材を、経産省や文科省は想定しているようだ。
☆そこで、番組では、そのような近代官僚的な発想について評論するのではなく、世界の壁を窓や扉に変えるという意味での私立学校独自のグローバル人材育成の教育について語り合うことになった。
☆そのようなグローバル人材が育つ国際的視野とはいかなるものなのか?協調性、多様性、寛容性、先進性、柔軟性、社会性、責任感など、私学の教育全体が反映する視点であることを確認したとともに、一般にそういう視点を日本人は欠如しているというような論評が多いが、明治維新を振り返ればわかるように、潜在的にそういう視点や能力は持っているのだという話になった。
☆ただ、内向き志向では、その潜在能力が見える化されずに、自虐的になりがちであると。海外での多くの体験、異文化の人々との対話によって、自分たちもそういう潜在能力を持っているということに気づく教育から始めなければならない。
☆それを私立学校は建学以来やってきているのであると。
☆そしてこのような潜在的な能力や視点という項目で、欧米の私立学校と比較研究をすると、日本の私立中高の教育が欧米の中等教育のレベルと同等あるいはそれ以上の高い質を有していることがわかるという話にも飛んだ。
☆世界の公の場で、日本の中等教育レベルの話をする時、日本の政府要人や学者が話をするのだが、そのときのケースメソッドは、公立学校がモデルである。私立学校の本質を研究している学者は皆無といってよいので、日本の教育における劣等感ばかりが目立つことになるのである。
☆大学進学実績や偏差値という受験市場のモノサシだけで私立学校を評価することは、それはあくまで受験という条件下でのモノサシで、世界標準のモノサシではない。
☆両者のモノサシをきちんと分けて、両方について話し合う場がもっと増えないと、受験市場モノサシがあたかも私立学校の教育について語る包括的な視点であるかのような幻想を生み出してしまう。いやすでにその幻想がデファクトスタンダードになっているが。。。
☆受験消費者にとってはそれでよいのだが、そんなことをやり続けていたら、2012年の大転換の世界の動きに日本がおいていかれることになる。未来の日本の子どものために、それが望ましくないことは明らかである。
☆私立学校の良質教育(Good Education)について発信する対話拠点を作らねばならないと改めて感じ入った撮影となった。
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