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21世紀型私学市場の模索[04]

21世紀型私学市場の模索[03]のつづき。

☆前回も述べたが、「自然→媒介項→21世紀社会→媒介項→個人→自然・・・」という無限のサイクルが回転するために、市場の中に「熟議」や「水平交流」を埋め込んで媒介システムを創出するには、イノベーティブな精神に興味と関心を持っている組織や個人と熟議や水平交流するしかないという話を聖学院の校務部長の平方先生と話し合っていたら、そういうことなら、ライフライン・イノベーションを行っている企業トーエルを知っているから、話を聞いてみないかということになった。

☆ということに専務と監査室長にお会いすることができた。なんというスピード。トーエルは、長年のLPG供給で培ったノウハウと独自のシステムを活用し、家庭用のエネルギー、LPガスを安全に媒介する役割を果たしてきたし、果たしている。また、家庭のエネルギーに対する不安などを解消するホームサービスやコールセンターサービスなど、実にコミュニケーションシステムを完備している。さらに、地球上でいちばんきれいな水と言われるハワイの水「ハワイウォーター」、「日本の屋根」北アルプスの水「アルピナ」の両ブランドのピュアウォーター事業も成功させたという。

☆エネルギーとコミュニケーションとエコをつなげ、「自然→媒介項→21世紀社会→媒介項→個人→自然・・・」というサイクルをすでに回転させているJASDAQ上場会社である。売り上げは200億は超えているから、いわゆる受験市場では大手ということになる。

☆こんな比較をしてもどうしようもないが、重要な点は、トーエルが火・水・空気(エコ)という自然と個人の生活をつなげる媒介項をシステムとして確立していることである。

☆火・水・空気(エコ)は、学習プログラムのテキストであり、エコという循環、市場という循環、そして大事な要素としてコールセンターとしてのケアとコミュニケーションという循環がうまく回転しているわけだから、トーエルの企業活動そのものがプロジェクトベース学習という21世紀型スキル教育なのである。

☆そしてトーエルがもう1つ徹底しているのは、品質管理である。このプロセスを教育的にとらえると、プロジェクト・ベース学習に重なるが、なんといっても、日本の教育に必要だけれどないのが、アセスメントやエヴァリュエーションのシステムのスピードである。自由記述の評価、スコアの評価を瞬時に行い改善に変えていくそのスピードこそ、教育イノベーションを起こす必要のあるところだ。

☆そして、これは私の勝手な想像だが、トーエルの核になる労働の生産手段が、社会サービスそのものだったり、コミュニケーションそのものだったりするので、スタッフの生き様が、20世紀型経済合理主義の外部環境を排除したクローズドなサイクルから抜け出ている解放感と責任感で溢れているような雰囲気を感じた。

☆環境に優しいガス、ピュアな環境を持続するシステムによる水の生成は、生活の空気を清浄に保つのに役立つサイクルを創りだす。自然と社会と精神をつなぎ、最終的には大きな自然と小さな心身という自然を、人工システムがつなぐという叡智を生み出していることになる。もしも、このトーエルの叡智と教育の叡智がつながるようなことがあれば、この挑戦は、今後の知識基盤社会の未来のプロットタイプになるのではなあるまいか。

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