小中高の暴力6万件を突破???
☆文科省は、平成21年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」を公表。調査結果の主な特徴については、以下のように箇条書きでまとめられている。
1)小・中・高等学校における暴力行為の発生件数は約6万1千件と、前年度(約6万件)より約1千件増加し、小・中学校においては過去最高の件数に上る。
2)小・中・高・特別支援学校における、いじめの認知件数は約7万3千件と、前年度(約8万5千件)より約1万2千件減少している。
3)高等学校における不登校生徒数は約5万2千人と、前年度(約5万3千人)より約1千人減少し、不登校生徒の割合も1.55%と前年度(1.58%)より減少している。
4)高等学校における中途退学者数は約5万7千人と、前年度(約6万6千人)より約9千人減少し、中途退学者の割合も1.7%と、前年度(2.0%)より減少している。
5)小・中・高等学校において自殺した児童生徒は165人である。
☆すでに8月に公表されている小中学校の不登校児の数は、減少ということになっている。減り方が小中の生徒の方が、高校生より多いから、もしかしたら、その分暴力が増えているのかもしれない。
☆時事通信(2010.9.14)によると、
文科省はささいなことで暴力を振るうケースが多いと指摘。「感情のコントロールができず、コミュニケーション能力や規範意識が欠如している」と分析している。
☆ということになっているが、文科省の公表している報告書には、記載されていない。時事通信の独自の取材によるものなのだろう。
☆しかし、これがもし本当だとすると、無責任な話である。理念なき教育を推進してきたわけだから、当然こうなるのではないだろうか。
☆理念とここでいう規範意識は異なる。理念は規範意識以前の問題である。ここでいう規範意識はルーズ・ベネディクトではないが、経済合理性を、経済以外のところでも適用しようという抑圧的構造である。
☆この抑圧構造に気づきそこから解放され自立していこうというのが理念の働きである。この理念がないのだから、当然抑圧構造に気づいていないのである。ところが一方でポストモダニズムはそのような規範意識という大きな物語を消失させている。
☆すると抑圧構造に反発する意識が芽生えるから、その反発がいろいろな形式として転移するわけだ。あるときは不登校。あるときは暴力。和は一定である。
☆だから、こんな統計を断片的に眺めていたのでは、何も変わっていないということが見えない。
☆高校無償化は当面の抑圧観をいったん安心させるが、高校卒業生の失業率の高さという抑圧は、高校生の自殺者の増加という事態に転移しているのかもしれない。
☆この報告書で見逃してならないのは、いじめを認知した学校と認知しなかった学校の対応の違いなのである。コミュニケーションの能力が不足しているのは、どうやら生徒ではなく、いじめを認知しなかった学校の抑圧システムにあるのではないかとも読めるのだが。。。
☆なぜか今回の報告書の主な特徴で、自殺者の点に関しては、「5)小・中・高等学校において自殺した児童生徒は165人である。」という表現にとどまり、推移を語っていない。偶然か意図があるのか。。。
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