土浦日本大学中等教育学校 自分の壁を乗り越える教育③
土浦日本大学中等教育学校 自分の壁を乗り越える教育②のつづき。
☆かつて私は、教育のクオリティの高い私学、さらに大学進学実績も向上しているエクセレントスクールとしての私学を求めてきたが、学校が、政権交代の狭間でゆれているこの間、さらにイノベイティブスクールとしての私学を探すますますの必要性を直感している。
☆菅新政権誕生の是非はともかく、テレビのニュース番組で、菅首相は「熟議」による民主主義をめざしてるなどというフレーズが使われるようになってきたからである。熟議デモクラシーとは、価値観が多様な状況下における合意形成として、日本の新たな挑戦であり、しかしながら、福沢諭吉がすでに100年以上前に予告していた事態である。
☆20世紀を経て、21世紀になりやっとその実現に向けて第一歩を踏み出したのである。これはしかし、インテルやマイクロソフト、そしてOECD・PISAのコラボで動いている21世紀型スキル教育のコンセプトにも重なるのである。
☆※インテルのペイジ・ジョンソン氏の考える21世紀型スキルの教育について、本ブログで何度も確認しているが、もう一度列挙しておこう。
http://journal.mycom.co.jp/articles/2010/04/30/21st_century_skills_intel/index.html
①批判的思考力(批評精神を持って考える力)と問題解決能力
②コミュニケーションとコラボレーションの能力
③自立的に学習する力
④ICT(情報通信テクノロジー)を確実に扱うことのできる能力・スキル
⑤グローバルな認識と社会市民としての意識
⑥金融・経済に対する教養
⑦数学、科学、工学、言語や芸術といった分野への理解を深めること
⑧創造性
☆これらは簡単に言ってしまえば、熟議デモクラシーのための重要なリテラシー(今後「熟議リテラシー」と呼ぼう)である。この熟議リテラシーこそ21世紀型スキル教育のベースであり、この教育のリーダーシップをとっていけるのは、残念がら今のところ公立学校では無理である。なぜなら、学習指導要領が、まだまだ20世紀型であるからだ。
☆そんな社会的要請、時代の要請、世界からの存在の呼びかけに応えられるのは、学習指導要領から自由な領域を有している私立学校以外にないだろうという読みはそう外れていないだろう。
☆あまりにも枕が長くなってしまったから、本題の土浦日本大学中等教育学校の話は次回に譲るが、上記の21世紀型スキル教育、つまり熟議リテラシーは、前回紹介した4つのコミュニケーションベースの同校の教育ですでに実践されているのだということだけはここで述べておきたい。さて、その具体的な実践プログラムとは何か?OECD・PISAの流れにも接続する、いやそれ以上なのだが、独自のクロスカリキュラムを創出しているのである。
☆それに進学の話題の時に、とにかくグローバルだし、イギリスのロンドン芸術大学のファインアートに進む生徒がいるなどという話も何気なく出てくる環境なのだ。
☆大手進学塾のスタッフとコンテンポラリーアートの話題がでたときに、コンテンポラリーってなんですかと一笑に付された経験がある。なななんとディスコミュニケーション・・・と思ったが、さらにファインアートなんて言葉をそのスタッフに語ったらどうなるだろう。
☆受験市場と私学市場の教養言説の違いを改めて確認したが、もしかしたら、ファインアートのことは他の私学でも「?」という場合が多いかもしれない。というのもファインアートは日本ではクール・ジャパノロジーに与しがちで、学校教育ではまだまだ認知されていない。クール・ジャパノロジーの認識は、ガラパゴス化された日本ではまだまだ市場価値を持っていない。市場の価値を感じているのは、実は海外なのである。
☆海外経験やグローバル教育への視点を持っていないと認識できないトピックである。
☆ともあれ、イノベーティブ・スクールとしての土浦日大中等教育学校をリサーチしていくことは日本の教育改革にも極めて重要であろうと直感している。
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