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土浦日本大学中等教育学校 自分の壁を乗り越える教育④

土浦日本大学中等教育学校 自分の壁を乗り越える教育③のつづき。

☆土浦日大中等教育学校は、イノベーティブスクールである。イノベーティブスクールには、21世紀型スキル教育が体現されており、そこに建学の精神が溶け込んで現代化されている。

☆同校の場合、その教育は、クロスカリキュラムとして結実し、そこに建学の精神である山田顕義学祖の精神の見事な現代化が果たされている。

☆クロスカリキュラムの大きな柱として英国ボーディング・スクールにおける海外研修がある。このプログラムのプランニングと運営のリーダー的存在である副校長西山勝治先生にお話をお聞きすることができた。

☆同校の海外研修のプログラムの特長は5つあるそうである。

①2年次と4年次の2回イギリスに全生徒が研修に参加する。

②2年次では、京都奈良研修でリサーチ(1年次)した日本文化のアイデンティティを海外で実感するという比較スタディーのプログラムが織り込まれている。

③4年次では、広島研修でリサーチ(3年次)した近代の矛盾とそれを克服する国際平和構築のための視野と視点を獲得するプログラムが織り込まれている。

④ボーディング・スクールという環境によって、リーダーとチームワークの力を養成する実践的なプログラムが盛り込まれている。

⑤吉田松陰の弟子であり、岩倉具視使節団に同行した学祖山田顕義の時代の大転換期を乗り越えた精神に触れるプログラムが織り込まれている。

☆中等教育学校として6年間のストーリーそれ自体をクロスカリキュラムが形成していることがわかる。ところで、なぜ英国を中心に海外研修が組みたてられるのか。それは日本大学が、ケンブリッジ大学のペンブルック・カレッジとの良好な交流を継続しているからであり、そこに日本ホールを持っているからである。

☆だからこそ、6年間で身につけてゆく英語力の成長時期を3つのタームに分けているのだ。ファウンデンション期→アカデミック期→ブリッジング期というように。この3ターム制が意味するのは、イギリスの大学に進学するときに必要な英語力を外国人が身につけるプログラムとして土浦日大がきっちりアレンジしているということだ。

☆TOEFLやIELTSでは最終的にクリティカル・ライティングという日本でいう小論文を英語で書けなければならないが、そのレベルまでにしっかりトレーニングできるカリキュラムになっている。

☆同校が海外大学進学希望者に対して、十分な環境を組み立ててていることがよくわかる。クロスカリキュラムというと、大学進学実績とは無縁な優雅で余裕のあるカリキュラムであるという内向きな幻想を抱かれがちであるが、同校の場合は、どうやらその批判は見当はずれである。

☆西山副校長の話は、近現代の歴史的な背景や学祖山田顕義のバックボーンについての話にまで到り、その造詣の深さに歴史の教師だと思ったが、実は英語の教師であった。優れた英語の教師であると同時に教養にあふれている。副校長自身がクロスカリキュラムの体現者なのである。イノベーティブスクールを創出するのは、やはり人材力なのであると改めて思い知った。

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