土浦日本大学中等教育学校 自分の壁を乗り越える教育②
「土浦日本大学中等教育学校 自分の壁を乗り越える教育」のつづき。
☆前回自分の壁を乗り越えられる土浦日大中等教育学校の奥義を探究したいという趣旨を書いたが、その奥義のヒントの1つが、9月6日の「校長室だより」にあった。
☆そこでは、先月8月に実施された学内の教員研修の話題が取り上げられていた。研修会では、学びの姿勢、学びの方法、そして教師のリーダーシップなどのトレーニングがなされたようだ。中川校長のブログ「校長室だより」にはこうある。
勉強こそ最大の生徒指導です。何か問題が起こるというのは,勉強から心が離れているからです。そういった観点からも,勉強という学校での中核をなす活動を強化していかねばなりません。上級生になればなるほど,暑さと並行して服装の乱れが出てきます。女子のワイシャツの着こなしも同じ傾向を持っています。こうした問題を来年も抱えないよう,生徒指導部に有効な対応をとるよう指示を出しました。やはり,私学として,将来有望な青少年を教育する上で,このことも大切な件であると思います。
☆ここには、ある新しさがある。勉強と生活指導の連携が意図されているのである。勉強がいくらできても、生き様がいい加減である人材は山ほどいる。ところが周りの人々に多くの感銘・共感の輪を広げる生き様を見せている人材は勉強もできる。
☆もっとも、前者の勉強ができるというのと後者の勉強が出来るというのとでは、質が相当違う。この質がどう違うのか?さらに読み進むことで、そのヒントが見えてくる。
また,今年の研修会では,教師の指導力向上をめざして,各種の研修がなされました。私も,教育に必要な四つのコミュニケーション能力を示し,先生方のリーダーシップの更なる向上を求めました。四つのコミュニケーションとは,①学ぶ力を養う「学習コミュニケーション」②問題意識を養う「創造コミュニケーション」③批評能力を養う「対話コミュニケーション」④まとめる力を養う「抑圧的コミュニケーション」を言います。
☆おそらく、前者の勉強は①はできているのだけれど、②・③・④のコミュニケーションのバランスがよくないのであろう。ここでもコミュニケーションの新しい理屈がある。
☆教育言説の表現は似ているが、その内実はまったく新しい。学びと生き様とコミュニケーションのイノベーションが、同校で生まれているということだろう。
☆文科省の副大臣鈴木寛氏が、躍起となって熟議という新しいコミュニケーションを生み出そうとしている。福沢諭吉が、「文明論之概略」の第一章で、すでに「議論の本位」を書き、日本人はまず議論ができるようにトレーニングしなければと助言して百年以上たっているが、未だ国民の間で議論ができていない。鈴木氏はそのことを肌で感じ、なんとかしようとしている。
☆しかし、コミュニケーションという対話や議論のベースである理屈を創りだそうとしていないから、なかなかうまくいかない。中川校長にコミュニケーションの内蔵秩序の教えを請うた方がはやいのではあるまいか。
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