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第1回男女別学教育シンポジウムの内容公開される

☆先月10日に開催された「第1回男女別学教育シンポジウム」の講演とパネルディスカッションの内容を見ることができる。

①基調講演

②パネルディスカッション

☆改めて読んでみると、男女別学教育が応える時代の要請とは何か議論を深めていくヒントがある。そういう意味で必見!

☆たとえば、中井氏の講演の中で「日本の男女別学校は危機にある」というテーゼがあるが、果たしてこれは何を意味しているのか?講演では、平成11年から平成21年にかけて、男子中の増減率は78.6%、女子中は86.3%というデータによって、シングルスクールの減少現象をもってして危機をうたっている。

☆だから、シングルスクールが減った分、共学が増え、結果「各校の建学の精神が失われるとすれば、それは大変残念なことだと考えます。しかも、別学教育自体は、教育効果が高く、昨年、欧米諸国でもその見直しが図られているのですから」ということになっている。

☆しかし、本当は共学化によって、失われた建学の精神を取り戻そうという動きもあるかもしれないし、教育効果といっても、日本と諸外国のアセスメントの方法や意義が違うから、一概に比較も出来ないのである。

☆テクニカルなデータ比較は、一見わかりやすいが、実際にはファンダメンタル層をきちんと掘り下げ、熟慮、議論する必要がある。その意味でまずはテクニカル層を整理した今回のシンポジウムは大変な意味がある。

☆今後は、ファンダメンタルな議論を丁寧にしていかねばならないだろう。問題はマスメディアだ。テクニカルな次元での話は了解できるが、ファンダメンタル層に入るのは、抑制するのが見識であるというたいへんな幻想を抱いている。

☆だから、結局スコアの競争でしか、簡単に言えば、勝ち負けでしか表現できない状態である。このような流れにうまく乗るのも私学経営の腕の見せ所であると同時、そうでない私学の系譜としての根っこの部分を議論することも必要だろう。

☆しかし、とにかく今の日本は、経済合理性でしか物事を測らないし、それ以外の部分はタダ働きとしてカットされてしまうのである。それが欧米と日本の決定的違いである。このような中で男女別学教育を保守している学校こそ真のシングルスクールである。

☆変わるべくして変わった共学校の前身であるシングルスクールは、20世紀型の教育を行っていたから、共学校に成らざるを得なかった。

☆重要なことは、21世紀型スキル教育を実現する教育は、シングルスクールなのか、共学校なのかということである。シングルスクールの減少現象は、21世紀型スキル教育を目指せるシングルスクールのみが残っている現象であり、共学校は、20世紀型教育を実践している学校と21世紀型教育を実践している学校の混在群である。

☆そういう意味では、学校選択者にとって、自分の子どもの未来を考えたとき、シングルスクールは、21世紀教育の質を保障してくれる学校群であり、共学校はそこを慎重に選ばねばならない学校群であるという現象が判然とする時代がやってきたと理解することが可能なのでないだろうか。

☆そのうえで、シングルスクールか共学校かという議論が展開されねばならないだろう。

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