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新たな景気後退の要因は何か?

☆ロイター(2010.9.21)によると、

米経済の景気サイクルを判定する全米経済研究所(NBER)は20日、米経済は2009年6月にリセッション(景気後退)を脱却したとの判断を下した。07年12月に始まった景気後退の期間は、1930年代の大恐慌以来の長さとなった。

 一方、今回の景気後退終了の判断は米経済が通常の稼働水準を回復したことを意味しないとし、経済活動が拡大期に入ってもしばらく通常を下回る水準にとどまることがあると警告した。 

☆このNBERの判断に対し、オバマ大統領は、

「エコノミストは景気後退が正式には前年に終了していたと言うかもしれないが、引き続き数百万の人々は職がなく、住宅資産は目減りし続け、日々の支払いに苦慮している。こうした人たちにとって(景気後退は)引き続き現実だ」

☆と同紙。実際には、米国内の各紙を見てみないとわからないが、そんな能力はないので、日本の他紙をみていたら、毎日新聞(2010.9.21)にこうあった。

米景気は今年春以降、住宅市場の不振や雇用改善の遅れなどを受けて再び減速傾向が強まっているが、NBERは「仮に景気後退局面に入るとすれば、07年12月からのものとは別の新たな景気後退になる」との見解を示した。

☆この見解は、重要だ。2007年来の景気後退は終わったけれど、新たな景気後退が浮上してきたのだという認識。オバマ大統領としては、この認識を持とうとは思わないかもしれない。

☆これは、世界的な政権交代の流れがもたらした景気後退かもしれないからだ。オバマ大統領としては、前政権の尻拭いをしているというスタンスが都合がよいわけだ。まさか自分の政策決定がもたらしたものだとは思いたくないだろう。

☆しかし、その可能性はなきにしもあらずだ。何もオバマ大統領の判断が間違っているということを言いたいのではない。冷静に考えてみれば、市場原理至上主義に対する是正を試みているわけだから、当然の成り行きだと言いたいのだ。

☆これは日本も同じことが言えるだろう。ただ、市場の原理の本当の姿をみないで、ただ市場原理至上主義を排除しても、おそらく勝てないだろう。

☆資本主義と市場は微妙に違うのである。そこをショートさせてはいけない。市場を持続する社会的正義こそが、オバマ政権にとって重要であり、その社会的正義を無視する可能性は市場の原理にではなく資本主義の理論にこそあったということを忘れてはいけない。

☆しかし、社会的正義のモノサシを議論することはないし、資本主義の資本の論理の是正ばかり、つまり「お金」の配分問題ばかりに政策を傾注し、肝心の生産手段の解放を論じていない。

☆格差は、たしかにお金の多寡ではあるが、その格差を創っているのは、労働時間の拘束である。時間の所有権を主張できないのだから、時間を縦横無尽に行き交う一握りの人間に勝てるはずがない。ではその時間の拘束はどこから生まれるのか、生産手段の一握りの人間による独占によるのである。

☆市場の占有率をもって独禁法に照らして、合法か違法かということに目はそらされているが、生産手段の独占こそが違法なのだという見解にいきつくことには、今のところはないだろうが・・・。

☆ともあれ、新たな景気後退は、むしろ社会的正義の名で、従来型の雇用政策、つまり時間秩序の回復という、実は資本主義の論理の再検討ではなく、社会主義政策への傾斜が生んでいるのではないか。

☆ところが、グローバリゼーションは、時間のコントロールは、国ではなく、個人にゆだねられているのである。もし日本人が英語を自在に操れるようになったら、日本という国は形を新たにしなければならなくなるだろう。

☆ITと英語は、今や安価に手に入れられる最強の生産手段であるからだ。それが、大学ではAPUとAIUで起きているのである。市場を大事にしている企業の動きを見ていてもそれはわかる。大分に秋田にリクルート活動に集結しているからだ。

☆しかし、大学からでは遅いのである。中等教育段階で、ITと英語の生産手段を自在に活用できる21世紀型スキル教育が必要なのだ。期待が私立中高一貫校に集まるのは、そういう理由があるのだ。

☆こんなことを言っていると、日本の固有の文化やアイデンティティはどうなるのか?という批判がすぐにでるが、それは一義的に決まるものではない。むしろ、アイデンティティとは何かは海外と比較研究をする文化人類学的手法を、市民が身につける必要があるのではないか。

☆学的手法も、生産手段の一種である。官尊民卑や学尊民卑から解放されることも必要である。

☆新たな景気後退があるとしたら、それは期待に反した政権交代による社会主義的体制の一時的な復古主義にあると思う。しかも無意識に・・・。社会的正義とは何か、市場原理と資本主義の論理の違いは何かなどについて議論しているうちに軌道修正は行われるだろうことを期待したい。

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