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高大連携・接続問題の意味[01]

☆高大連携・接続がテーマになって久しい。その問題視の多くが、経産省や文科省から提示されているわけだから、ほとんどはGDPを支えるためにどうするかという点とその表裏である人口問題をどうするかという点が背景にある。

☆高度経済成長期→バブル経済→バブル崩壊→日本のGDP低迷という流れと第一次ベビーブーム→第二次ベビーブーム→少子高齢化→労働人口減の流れは、周知のごとく対応しているだろう。

☆高大連携・接続問題をこれに対応し、第一期高大連携・接続問題→第二期高大連携・接続問題→第三期高大連携・接続問題→第四期高大連携・接続問題と呼んでおく。

☆この分け方は、あくまでも21世紀市民的視点にすぎず、政策担当者や大学の専門家はなんというかわからないし、それぞれの時期に何が起きているのかも正確には彼らに任せよう。

☆市民的な直感としては、第一期は、小学校から大学まで連携した慶應や日本女子のような理想郷主義で、ほとんどの大学は積極的に意識していない強烈な学尊民卑の時代だったのではないか。

☆第二期は、高校人口が膨れ上がるのだから、それを収容すべく大学の数が増え、大学予備校全盛の時代だろう。大学の大衆化時代。大学のランキングの明確化時代ともいえる。学力低下問題の芽生えにもつながる。

☆第三期は、少子高齢化の人口予測はついていたので、新設学部・学科の工夫、推薦入試・AO入試などの入試改革が花盛りになった学生獲得戦略の時代に突入。同時にその戦略が、高校からではなく中学からという意識が強くなった時代でもある。東大ですら積極的な学生獲得戦略を実行する時代に突入。それが中学受験予備校の時代にもつながる。学力低下問題がはっきり現れた時代で、中学受験の必要性、高大連携の必要性が鮮明になった。

☆しかし、第四期は、少子高齢化と労働人口減がもたらす日本の経済低迷・減退の時代になり、20世紀型学力の低下問題の解決だけで、高大連携・接続問題がクリアできない状態になってきた。ここにきてようやく学尊民卑でよいのかという反省が芽生え、ケアとリスペクトを前提にした高大のコミュニケーションが必要ではないかという話題がちらほらでるようになった。

☆もちろん、広報やアドミッションレベルでは開明的になっているが、その奥に控えている教授陣の中にある学尊民卑的風土はまだまだ払拭されていない。そして、そんな大学の研究や教育の質を変えることができない限り、知識と論理だけ身につけてきてくれればよいという入試問題が気楽に制作される。つまり20世紀型の知のチェックテストが作成されるから、高校の教育が変わるはずもない。

☆意外なことに、テストは授業を反映するという意識が教育の中で欠損しているのも、日本の教育の欠陥であることに、多くの教育関係者は気づいていない。それは評価の問題がなおざりにされ、昨今話題になっているにも関わらず、突破口が見えていない教育現場の姿が論より証拠ということだろう。

☆それゆえ私立中高一貫校の中のイノベーティブスクールは、ガバメントソリューションなどに目もくれず、自らをイノベーティブに変革し、卒業生にとって新しい世界を創ることができる有利な拠点を見つけようと創意工夫しているのである。

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