学校選択の仮説 3TRX[03]
学校選択の仮説 3TRX[02]のつづき。
☆前回「佼成学園女子は≪3TRX≫な私学」で、3TRXの選択めがねをどのようにかけるか具体的に説明したので、コツがつかめた方もいるだろう。いろいろな角度から学校を考えてみるきっかけになってもらえたら幸い。このシリーズは、アトランダムにそれぞれの学校をみていくので、さっそく続けよう。
☆佼成学園女子がPISA型入試を行うというつながりから言えば、公立中高一貫校はどうなのだろうか。両国をはじめ多くの公立中高一貫校は、≪3tRx≫な学校だが、小石川中等教育学校は、どうだろうか。おそらく≪3TRX≫な学校の可能性がある。3TのうちToleranceは限定つきだろうが、かなりグローバルな意識を教師は持っている。スーパーサイエンスハイスクールでの活躍は、単純に科学論文を生産しているというよりは、人類のためにという大志が育っているのが現状である。
☆両国付属中学がなぜ≪3tRx≫かといえば、たとえば、高校の小論文の入試問題を視ると、明かである。食料自給率の問題が出題されているが、前提として自給率が低いのが問題であるという暗黙のパースペクティブがある。
☆これはコミュニケーション行為の段階だと、≪民主主義―プレ慣習段階≫と≪民主主義―慣習化≫の過渡的段階であり、このプロセスを乗り越えるプログラムがサイト上では表現されていないからである。このプロセスこそが、3Tであり、3Xなのである。
☆さて、両国というと、男子校の安田学園と女子校の中村中学校が、昨年コラボして合同説明会を行ったが、安田は男子校としてある程度開成を意識しなければならないから≪3tRx≫な学校という位置づけになっている。ところが中村中は、≪3TRx≫である。近年大人気の女子校であり、丁寧なコミュニケーション、大胆なプログラム、地域を巻き込む活力などエネルギーに満ちている。
☆ただ、中村中の大事なボランティアのコミュニケーションは最近前面にでてこない。もちろんその伝統は活動としては今も続いているが、中村の本来のボランティアは、かかわるメンバー全員が≪民主主義―脱慣習化≫レベルを志向するように変わることだったのである。
☆三輪田もボランティアのプログラムは興味深いものがあるが、システム化され、慣習化レベルでもしかしたら満足しているかもしれない。前校長の西先生の対話型の理想のコミュニケーション行為は、もしかしたら停滞しているかもしれない。学校運営は、≪民主主義―慣習化≫レベルで十分できるからである。そういう意味では≪3TRx≫な学校である。
☆三輪田とくれば、跡見、豊島岡女子という日本の伝統をベースにしている女子校が思い浮かぶ。跡見も≪3TRx≫であるが、豊島岡女子は、≪3tRx≫である。大学合格実績を上げるには≪3R≫で十分であるから、≪3tRx≫と≪3R≫を比較すれば、さすがは私学で、情操豊かで品格があると相対的に感じるはずである。
☆要は、≪3TRX≫を大事だとするスタンドポイントに立つかあるいはパースペクティブを持つか、≪3R≫を大事にだとするスタンドポイントに立つかあるいはパースペクティブを持つか、それは価値観の違い。自分がどの立場を大事にしているかをはっきりさせれば、世の中の情報に左右されないだろう。
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