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かえつ有明の学校説明会で気づいたこと[2]

かえつ有明の学校説明会で気づいたことのつづき。

☆説明会の中で、入試の出題傾向についてのプレゼンテーションがあったが、他校とはひと味もふた味も違う視角から語られた。

☆特に国語と社会。一般的には、理数と同様に、出題分野の比率がたんたんと語られるだけなのだが、かえつ有明は違った。

☆理数の場合、出題分野はそのまま思考力のカテゴリーを表現することになる。もともとが抽象的事象で、社会的な事象を扱っているわけではないから、それでよいのである。

☆たとえば、図形の問題を出題するということは、比という関数関係を構築する力のことをストレートに意味する。理科でいう天文分野も、同様に関数関係を構築する力そのものである。算数でも、図形の種類など分類の力が必要だし、場合の数などはまさに分類学。実は中高に入ってからの関数は、場合分けという条件の分類が必要。

☆この分類する力は、むしろ理科で多く使われる。生物分野や化学分野は、分類する力がベースである。

☆このように、理数は、分野と思考の力のカテゴリーが一致するのである。

☆しかし、国語と社会は、分野といってもあまりに具体的な素材が対象がゆえに、思考の力のカテゴリーと出題分野は必ずしも一致しない。

☆素材が少子高齢化の推移グラフだとしよう。この分野を出しますよと言ったところで、どんな思考力を養成すればよいのだろうか。物語と説明的文章を出しますと言ったところで、どんな思考力を養成すればよいのだろう。

☆ところがかえつ有明の国語と社会の主任は、そこをきちんと丁寧に説明する。データを客観的に読む力を試しますよと語るのである。そうであれば、データとは何か、どう読めば良いのか、そのトレーニングの戦略はたてようがある。

☆文章内容の再現力をみたいのですと言われれば、物語であろうが説明文であろうが、再現のためのロジックとレトリックの読解リテラシーの戦略を立てればよいということになる。

☆よく「うちの子は物語は読めるが、説明文は不得意である。論理的に読むことを学ばねば」という話を保護者の方からよく聞くが、このアドバイスが子どもに入らぬ先入観を植え付けてしまうのである。

☆物語だって論理的に読むのである。ただし、レトリックが使われているから、見えない論理を読むトレーニングを積まねばならない。むしろ物語のほうが、本当は難しいのだ。易しいと思うのは、問いがあらすじの確認程度の問題しか出していないからである。

☆かくして、国語と社会では、出題分野しか説明しないとなると、理数と次元が違うことになり、同レベルでプレゼンしたことにならないのである。

☆これでは、学校の顔である入試問題を通して、受験生に学びの準備の仕方や楽しみ方を情報公開したことにはならない。かえつ有明の入試問題の出題傾向プレゼンに学ぶ必要がある。

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