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21世紀型私学市場の模索[07]

21世紀型私学市場の模索[06]のつづき。

☆日本は変わらなければならない、21世紀は2020年までにどんどん変わる、2012年がそのきっかけになる・・・など、本ブログでも取り上げる主要なテーマではあるが、この変わるとは、自然と社会と精神のつながりかたや循環がテクニカルに変わるということを語っているのではない。

☆もちろんテクニカルに大いに変わるのであるが、その情報を収集したり整理したりする能力とそもそも資本を私が有しているわけではない。だから、その部分は、資本のある人がやるのならやって欲しい。

☆ただ、そのときにできれば、ベクトル方向を誤らないで欲しいと願うわけである。それで、ファンダメンタルな層で、自然と社会と精神のつながり方や循環がどのように変わろうとしているのか、一市民の立場から考えているのである。

☆このテクニカルな道具としての思考や道具としてのスキルに興味の大部分が支配されている世界で、唯一ファンダメンタルな思考をなんとか保守している磁場がある。それが日本においては私立中高一貫校である。もちろん、だいぶテクニカルな層に覆われ、ファンダメンタルな層は見えなくなってきているところもある。しかし、≪私学の系譜≫を捨てない限り、保守できるのである。

☆自然と社会と精神のつながり方や循環がいかにして変わるかというと、このシリーズで、この三者の関係を次のような連鎖図式で描いてきた。

「自然→媒介項→21世紀社会→媒介項→個人→自然・・・」という無限のサイクルの回転

☆この無限のサイクルが回転し始めることが、自然と社会と精神のつながり方が変わることを意味する。20世紀というのは、自然を社会の外に排除していたから、つなぐための媒介項は確立していなかった。

☆20世紀型社会は、個人は国家の庇護のもとに包摂されていた。したがって、国家と対等な位置に立つことは個人はできなかった。それゆえ、媒介項は確立されていなかった。

☆媒介項とは、お互いに独立し自由を保ちながら協力し合うというツールであり、ルールでありロールである。もしこれが一方的なながれしかないツールで、そのような抑圧的なルールやロールプレイでしかなければ、それは媒介項ではなく、権力という。

☆媒介項の代わりに権力が置き換えられたとき、ルソーではないが私たちは権力の鉄鎖につながれる。その意識を多少緩和するために、20世紀はメディアが媒介項として機能してきたが、おそらく権力強化装置や個人の生活のパノプティコン的な役割を果たしてきた可能性がある。

☆経済合理性を重視する20世紀型社会は、なんだかんだといいながら功利主義である。功利主義の政策の1つにこのパノプティコンという全展望監視システムがある。環境統治型権力の発露である。この点に関してはもちろんフーコの考えを鵜呑みにしている私ではあるが。。。

☆ともあれ、20世紀型社会が変化するには、その変化のビジョンはわかっているが、具体的にどうするかは、権力パイプを媒介項パイプに取り変える、配管工事が必要である。

☆この媒介項パイプの開発こそ、イノベーションであり、それが可能なのは、今のところ私立中高一貫校の教育イノベーションであるということなのである。そして、それが着々と行われている学校がある。

☆21世紀型社会は、グローバリゼーションの流れにあることは誰も否定しないだろう。その社会にアクセスできるのは、もはや権力パイプではないなのである。アクセスできる媒介項パイプという知のインフラを整備することが、ファンダメンタルな思考なのであり、知のイノベーションである。

☆この知のイノベーションを形にするのは、いうまでもなくテクニカルなツールである。知のイノベーションとテクニカルなイノベーションをつなぐのもまた媒介項パイプである。

☆それゆえ、橋下知事の公私教育の一体化政策は、媒介項パイプを権力パイプに置き換える可能性があるだけに、危ない!チェックは欠かせない

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