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武相の新しい試み 4組の歴代PTA会長座談会

☆今月16日、武相中学の50周年記念館アリーナで、「PTA会長夫妻と教員の座談会」が開催された。対象は受験生及びその保護者。4組の歴代PTA会長夫妻がパネラーとして登場。それぞれ、息子が全員武相を卒業したとか、甥っ子も同窓生であるとか、私立学校ならではのファンの集いとなった。

☆中高一貫コースはすでに18年目を迎え、卒業生の中には、青山学院大学から上智大の大学院を経て、現在27歳にもかかわらず外交官として活躍している人材も輩出されている。つまり、卒業してからもなお生き抜く力が伸びる本物の教育を実践しているのが武相なのだ。

☆私学の本物の教育力とは、入口の偏差値だとか、出口の大学合格実績とかではなく、そこから先、今度は同窓生として一生もののSomethingを自分なりに見出し、獲得するのをなお教師が教師以上のメンターとなって対話し続けられるというところにある。そのことが十分に納得のいく座談会であった。

☆4兄弟が中1から高3まで在学した時期があるという会長夫妻の家庭では、長男の中学入試の時、多くの中学を見て回り、武相以外にも挑戦した。しかしうまくいかなかったので、武相の二次試験に挑戦。しかし、それもうまくいかず、三次試験を受けることとした。その面接のとき、二次試験で受験した長男のことを、先生がちゃんと憶えていてくれて、それで勇気をもらってなんとか合格できたと思い出を語った。

☆思い出は生徒だけでのものではなく、親もまた共有しているではないか。その会長夫妻はこうも述懐した。武相高校は当時評判がよくなかったが、入学するとすぐにそれは違うことがわかった。実際自分の息子は最初は成績は振るわなかったが、コツコツがんばるように応援してもらえた。それで今日あるし、今でも同級生とは友情がつながっている。長男のその様子を見て、親もそうだが、次男も三男も四男も武相に進むのが自然だと思うようになっていた。もちろん、紆余曲折はあるのだが。ともかく、息子たちに、学費はたいへんだっただろうけれど、武相に通わせてくれてありがとうと言われた。武相の良さは、その言葉に尽きるのだと。

☆こんな会長夫妻家庭もあった。小学校、中学校が少子化にのまれ、入学予定の公立中学の学年が1クラスという小規模サイズになってしまった。このままでは、小学校からやってきたバスケットができない。どうしても続けたいので、公立ではなく私学に進むしかないと。しかし、それに気づいたのが小6の10月。各学校の説明会を大急ぎで見て回り、夢の実現が可能な学校を探した。突然受験勉強を開始したので、こんなに勉強させていいのかと悩みながら、どうにかこうにか武相に入ることができたが、どうしてこの学校を選択したのかというと、夢の実現ができる学校だからという想いがあったからだと思うと。

☆とにかく、先生方はやる気があって、生き生きとふれあってくれる。子どもたちに近い先生方が多い。子どもたちにとって居心地の良い学校であると。受験勉強で夢を実現させたいという想いを持ち続けることができた学校。実際、中高でやりたいものを見つけられたし、友だちにも恵まれた。もっとも、バスケットではなく、結局野球を選んだのですが(微笑み)。その兄の姿を弟も見ていた。野球の試合もみにきていたし、学校にもよくきていた。先生ともすっかり顔見知りになった。それで兄弟そろって武相ということになるのは必然だったと。

☆ある会長夫妻家庭のご主人はこんな話もされた。私自身、私学なので、子どもも私学に進めたいと思っていた。高校時代、友人が武相の野球部は、レベルが高く、世の中では硬派だと言われていたが、それは先入観で、フェアプレイの精神を持っている良いチームだと話していたのが印象的だった。また、大学の先輩にも進められたこともあり、学校説明会に参加することにした。そのときの先生のていねいで温かい学校案内に感動したのを覚えている。親としてはもうそれで決めていたが、最終的には子どもがどう決めるかだと思っていたら、6年なかばに、自分で受験したいと表明した。それで受験することに決めたという。

☆他の会長夫妻家庭も、入学する前は硬派なイメージはたしかにあった。しかし、実際には先生とのコミュニケーションが柔らかい。大学になっても進路相談に乗ってくれる。息子が、こんなに明るく素直に育っているのをみて、本当に感謝している。

☆それに、女の子のいない静かなところで、男同士の友情を深められるということは今の世の中にあっては、大切かもしれない。だからこそ、卒業しても中学からの友情が今も続いている。勉強だけではなく、人生の話を腹を割って話し合えるのがよいことは誰も否定できないだろうと。保護者同士もいまだにつきあっているそうだ。

☆武相は文武両道。このことのすばらしさは、子どもの勉強に対する姿勢の変化で実感できるとも。通学時間は1時間だから、部活動から帰ってくると、食事をして寝てしまう毎日。勉強はどうするのかと思っていると、学校で集中し、創意工夫してがっちり勉強するように変わった。家はくつろぐところで、学校で集中。わからないことは先生方に休み時間や放課後、教えてもらっていた。高校になって特進に進む時に、勉強か部活かどうするのか。先生方や両親に、成績はおとさず、部活を続ける宣言をして邁進したということだ。

☆オーストラリアの研修旅行が中3であるが、その研修から帰ってきてから驚くほど人間そのものが変わったという話も出た。勉強をするようにもなったし、高校から始めたソフトテニスの早朝練習も休まず毎日出た。正月も元旦から練習だった。そのせいもあり遅刻もなく皆勤。高校になってから自立心がしっかりできた。成績もあがり、ソフトテニスの仲間とも友情を育んでいる。友だちどうしが励まし合い、1つのことを達成し、みんなで感動を分かち合える学校。先生方も求めれば、あらゆる扉を開いてくれる。

☆このような話が尽きることなく続いたが、何も会長夫妻の家庭だけの話ではなく、日々同じような話であふれているのが武相の学園生活であるというのが、ひしひしと伝わってきた。学校生活と卒業後の人生がこんなにも密接につながっているのかと。いやそれどころか同窓生になっても武相の教育が継続しているのである。このようなことは、今回のような機会がなければ決して気づかない。

☆私学の本物の教育力は、偏差値や大学合格実績だけでは測れないとよく言われるが、そのことが身に染みてわかる座談会形式の学校説明会であった。本物の教育は人生そのものを大切にする教育なのだと。

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