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白梅学園清修の教育イノベーション

☆今月13日、白梅学園清修の学校説明会が開催された。まもなく開設以来5年が経過しようとしていることもあり、同学園のカリキュラムの全貌がみえてきた。

☆それは1期生から5期生までの実際の成長を支援してきた先生方の経験と同学園の発達理論の統合の軌跡である。

☆そして、その成長・発達段階のきめの細かいプログラムは、他校にはない斬新さであった。たいていの学校の成長段階は、「自分を見つめ、自分を知る→他者のものの見方や考え方を理解する→社会の中における自分の役割を考える」というプロセスになっている。

☆つまり、自分→人間関係→社会という直線的な軌跡になっている。ところが、清修は、「自立する自分」「伸びゆく学力」「社会性の獲得」という3つの項目が、それぞれ6年間で3段階の成長をするようにプログラムが組まれ、3つの柱がそれぞれらせん状になって進化するように設定されている。

☆そしてそれをサポートするために、各段階でさまざまなツールが活用されている。たとえば、どの教室にも設定されている電子ボードというツールの活用方法が、各段階で創意工夫されている。

☆当日、授業見学ができたので、そこから推測するに、1・2年の段階では、情報の確認と整理を中心として電子ボードの使い方をし、3・4・5年では、論理的な思考、矛盾のない考え方をたどることができるような使い方を中心に工夫が凝らされていた。そして、5年の段階からさらに、目に見えない論理を自ら組み立てる力が身につくようにもなっていた。

☆数列のはさみこみの理論は、無限に行くつく先は0に収束するという授業だったと思うが、そのグラフを電子ボードで示し、それが数式的にはどのように表現されるのか生徒は考えていた。数式とグラフのイメージを交差させる授業は、電子ボードがなくてもできると思われるかもしれないが、パラメータを変えることで、いろいろなグラフの動きまでわかるビジュアルとプリントなどの静止画像とでは、脳内の化学反応がまったく違うということを実感できた。

☆情報の確認と整理の段階では、まだ生徒の内面から思考が展開されるわけではなく、まずは既存の知識を外部から取り入れるという意味での自立が養われる。次に論理をたどることができるようになると、外部からのルールと自分の内面から生まれいずる自分なりのルールとのズレを意識し、どう調整していくかという同じ自立でも、少し次元が高くなる。

☆目に見えない論理を自分なりに組み立てる段階では、外部からのルールの背景、自分の内側のルールの背景をそれぞれたどり、その正当性や妥当性をチェックできるようになる。この段階での自立こそ、グローバルな世界で生き抜く力であろう。

☆そして、この段階で、初めて本物の社会性が養われる。なぜなら、社会性とは、ルールを押し付けられることでもないし、ルールを鵜呑みにすることでもない。相互にルールの合意形成を行うコミュニケーションができる段階が社会性そのものなのであるから。

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