今年も人気の八雲学園
☆本日10日雨降る中、八雲学園の学校説明会は始まった。雨といっても前夜から激しく降っていたし、三連休の中日でもある。説明会参加者の足は鈍るかと思ったが、まったく関係がなかった。いつものように会場である体育館は参加者であふれた。
☆本ブログ前回の記事で、私立中高一貫校の受験の大衆化はそろそろ終わりを迎え、クオリティスクールやエクセレントスクール、イノベーティブスクールに人が集中するようになると書いたが、八雲学園の人気はそのことを証明する出来事であるまいか。
☆エクセレントスクールとは偏差値が、50以上でクオリティスコアが2.8以上である。AERA2010.9.20によると、今年の八雲学園の偏差値は43から50(四谷大塚データ)に跳ね上がっている。09年クオリティスコアは3.83(今年は校舎のリニューアルが完成すればさらに上がる)であるから、八雲学園はエクセレントスクールである。
☆もっとも実質・実態としてエクセレントスクールだったから人気が持続しているのであって、AERAの記事を見て参加者が増えたわけでもないし、クオリティスコアを認識していたわけでもない。いずれにしても、大学進学実績や偏差値という量の競争ではなく、教育の質で競争をすると信念を貫き通してきた八雲学園を受験市場が認めたのであり、私学市場の理念標榜の戦略が成功したケースである。
☆それにしても八雲学園の教育の質は、生徒の椅子1つとっても染み渡っている。女子生徒が上着を脱いで、机に向かう時、椅子の背もたれにかけるのは日常的シーンであるが、従来のものだと、型が崩れたり、床についたりする。
☆マナーを大切にする女子校にとって、これでは口先だけで終わってしまう。かといって、ロッカーにしまうと、男子より気温の変化に敏感なだけに、授業中にいちいち立つことになる。その繊細なニーズに応えて、校舎リニューアルにともなって、わざわざ上着をかけるアーチを加えた椅子をオリジナル制作したのである。
☆もし背もたれの板をただ大きくするだけだと、重量が増すし、見通しが悪くなる。そこで写真のような素材を使ったのであろう。
☆机にも同じように工夫が凝らされている。フックが両サイドに3つついているし、スポーツ着などもいれられるネットまでついている。
☆ところで、この椅子や机の工夫は何を意味するのだろうか。それは、生徒にとって個室空間を提供することになることではないか。授業中、移動しなくても、机と椅子のスペースで必要なものを調達できるのである。その小空間を居心地よくするかどうかは、生徒1人ひとりの創意工夫にかかっている。
☆同時にクラスという協働生活も行える。まさにman for othersを日々の生活空間でシミュレーションできるようになっている。
☆このように繊細なニーズへの対応として学びの空間をつくれるのは、チューター制度を中心とする、生徒との対話が密だからであろう。こういうコミュニケーションの中から教育の創意工夫が生まれることがイノベーティブであり、質が高いというのである。
☆このような環境へのこだわりは、さすがに平均的教育を実行せざるを得ない公立学校では柔軟に対応できないだろう。
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