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受験市場と私学市場をつなぐもの

☆受験市場がどんどん変質している。資本提携や吸収合併や様々な資本の動きもあるが、それに伴い、塾機能以外の市場開拓に躍起だ。直接塾機能を持っていない教育産業も、しかしながら、実は東大を頂点とする学歴社会を支える学習指導要領に準拠しているから、基本は受験市場をターゲットとしている。

☆一方、私立学校も、雲の上の存在として役割を果たすのではなく、現実社会の中で、理念を抱き、理念準拠で教育を実践しているから、学歴社会を無視することはなく、その弊害に常に警鐘を鳴らし、批判的精神を持ちながらも、受験市場と付き合ってきた。

☆ところが、周知のごとく、グローバリゼーションという世界の動きが、学歴社会だけではない世界があることを広く知らしめ、そのために、学歴社会に固執する受験市場の基盤が緩み始めている。

☆受験市場はもともと、東大を頂点とする学歴社会に依存してきたというのは便宜上の表現で、実際には、その学歴社会を活用してきた官僚制度と大企業システムに依存してきた。この両者が、グローバリゼーションの中で構造転換を余儀なくされている今、当然受験市場にも影響が出ているのだろう。

☆受験市場が生き残るには、長期展望に立たねばならないが、そんなことを考える余裕はどうやらなさそうだ。そのため、イノベーションを起こす前に、自分たちの強みを場所を変えて商品として販売しようということになる。これも実は小さなイノベーションではある・・・。

☆強みとは何か?それは教材や学習システム(プログラム)である。この教材で、この教え方で、学力を向上させたという成功体験を商品化しようというのであろう。

☆それを塾どうし販売しようとするし、私立学校にも販売しようとする。しかし、セミオーダーをしないで、そのままパッケージ化して売ろうとするために、なかなかうまくいかない。

☆四谷大塚のテキスト販売が1つのモデルなのだろうが、これは良し悪しは別として、テキスト自体の価値よりもブランドを買っているのである。四谷のテキストを使っていますよというのが顧客の安心感を得られたのである。しかし、実際には、独自のプリントをがんがん制作して指導しているところでなければ、実績はでないのである。

☆だから、いろいろな学びのプログラムの汎用性の相談をうけるが、そのままでは広まらないのではないかと回答する。そんな手間ひま・コストをかけるのなら、もういいですと嫌われる場合が多いが、やむを得ない。

☆たしかに、どこも結局PDCAサイクルを取り入れている。だからといって、学力向上が可能なんだとか学習習慣がつくのだから、どうして売れないのかと言われても、困ってしまう。

☆そうやって二度とふたたび連絡をしてこないところもあるが、そうでないところももちろんある。カギはおそらくCとAにある。

☆Cはチェックということだが、要は振り返り。この「振り返り」機能の使い方が、たんなる反復で終わっている可能性がある。これは受験市場の大きな特徴で、そこが私立学校の振り返り機能と大きく違うところだ。

☆Aはアクションで、実行プランを立てなおすわけだが、たいていの場合は、効率のよいアクションを再構築する。しかし、ここにはアップルの宣伝ではないが、クレージーな天才の学びの手法をいかにコンパクトに容れられるかである。

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