変わる教育の市場地図[02]
変わる教育の市場地図のつづき。
☆昨夜のWBS(テレビ東京)では、来年からの小学校5・6年生英語学習必修化に向け、ぞくぞく企業が英語ビジネスに参入しているという特集が組まれていた。
☆ナガセや栄光などの受験市場の大手企業、ベネッセのような教育産業も、当然ながらおもしろい英語コースを開設。小学校の授業の現状がどうあれ、学習指導要領の改訂が、英語を小学校に浸透させる。
☆ガバメント・ソリューションによるマーケット・ソリューション型市場の形成の典型例。
☆グローバリゼーションがグローバルな人材を欲しているのに、相変わらず、その中間にガバナンス・ソリューションに依存しなければ、マーケットが動かないというところが、受験あるいは教育の市場の革新性のないところではあるが、当面の不況脱却のきっかけにはなるだろう。
☆すでに2012年には、多くの企業で社内公用語が英語になるというのは話題になっている。子どもから大人まで、やっと英語が浸透する。
☆中学入試で、はやくから聖学院のように帰国生ばかりではなく、英語体験者に門戸を開く私立中高一貫校は、一気呵成に増えるだろうから、中学受験市場は変わらざるを得ないということか。
☆こうなってくると、やはり単独の中学受験塾や予備校は、資金力があれば問題はないが、そうでないところが多いだろうから、大学受験予備校にぶら下がらないと、英語のノウハウをビジネスで活用できない。
☆英語の浸透拡大は、結局は海外の英語ビジネスの参入拡大も意味する。イギリスとアメリカの世界戦略の貫徹ということでもあり、政治や文化的には、日本の文化や日本語の位置づけをどうするかという議論もまた浮上するだろう。
☆日本の文化や日本語が消失するというようなわけのわからぬ理屈ではなく、歴史や文化の構造として日本人が日本を捉えなおす範囲がどのくらいになるかということ。学者の範囲でよいのか、自治体の範囲でよいのか、市民レベルまで必要なのかという議論をする必要がある。英語の浸透が、歴史学習の復元となるだろう。「歴女」が流行っているのは、それ自体は表層かもしれないが、表層には深層がつきものである。
☆そうそう英米の世界戦略の話だった。要するにIELSやTOEFLなどの英米の英語の資格テストがどんどん日本に浸透してくるということだ。
☆すでに聖学院や洗足学園、土浦日大中等教育学校などは、この種の英語の試験を活用し、海外大学進学にも力を入れているから、同じような動きが起こるだろう。ただし、この動きは、英語による小論文の能力を必要とするから、国内大学受験の市場の英語ビジネスではすぐには追いつかない。
☆結局、英語であろが日本語であろうが、最後は思考力がものをいう。英米の世界戦略をどのように受容するか切り返すには、日本語に固執する対抗策ではなく、共通言語で思考力を闘わす以外にない。
☆このあたりの認識の違い(儲かればよいのか日本社会や世界に対する使命感を大事にするのか)が受験市場と私学市場、教育市場の差異になってくるかもしれない。もちろん、現状でも海外大学進学の予備校はあるのであるが、そこはスキルが中心で、教育に根付いてはいない。
☆いずれにしてもボローニャ宣言の結果報告やOECD/PISAの報告によって、道具としての英語以上の能力が重要になってくるのが明らかになるだろう。
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