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公立中高一貫校176校に

☆11月5日に文科省のHPに掲載された「高等学校教育の改革に関する推進状況について」によると、公立中高一貫校は176校になった。23年度以降も予定されている公立中高一貫校は15校であり、着実に増加している。

☆最近の公立中高一貫校の傾向は、東大を頂点とする国公立、および難関私大に進学させることを目標としている。設置当初は、もっと幅広く教養の豊かな学びを目指していたような気がするが、昨今のガラパゴス化の影響は如実にあらわれているのだろうか。

☆いずれにしても、たしかに実績は伸びるだろう。たとえば、2003年に設置された伊奈学園の今春の大学合格実績は、東大が1名、早稲田が9名、慶應が6名である。2005年に設置された白鴎は、まだ中学からの1期生は卒業していないが、現段階ですでに早稲田21名、慶應8名の合格者が出ている。当然来春の1期生の実績は向上しているはずである。

☆2006年に設置された小石川、両国なども中学からの1期生の実績は2012年に示されるが、すでに今春、小石川の場合、東大2名、早稲田48名、慶應12名が合格、両国の場合、東大1名、早稲田33名、慶應8名が合格。保護者の2012年の期待は膨らんでいることだろう。

☆2008年に設置された武蔵は、早稲田61名、慶應14名の合格者を輩出。大泉は、早稲田45名、慶應9名である。やはり2014年に期待はかかる。

☆千葉も2008年に開設。東大22名、早稲田173名、慶應101名であるから、2014年はどうなるのだろう。かつての勢いにもどるだけといえばそうなのかもしれないが。

☆神奈川では相模原が2009年に開設。今の段階で、東大1名、早稲田43名、慶應15名で、学校当局も鼻息は荒いということだ。

☆2004年に設置された広島は東大3名、群馬の中央は東大1名、長崎東は東大5名、佐世保北は東大3名の合格者がでている。公立中高一貫校の進学重点の目標は着々と達成されていくのではないだろうか。

☆いずれにしても2012年になれば、はっきりする。理念なき教育は、キャリアデザインがあからさまに大学合格実績を出すことにシフトしてしまう。

☆私立学校は理念があるために、人間の存在を大事にする。大学合格実績を出すことを公立が目的にしたとたんに、そこには人間の存在疎外が起こる。特に2012年マスコミは一斉に騒ぐだろうから、さらにその疎外は膨張する。疎外されていることに気づかないほどに。

☆理念に基づいた教育の重要性を証明するには、私立学校はどうしても大学進学実績の成果をあげねばならない。低迷する学習塾・予備校の利害とそこの部分で一致するために、私立学校は距離をとりながらも、無視するわけにはいかない。

☆現状の受験勉強というのは一回性の価値ある探究を続けるものではなく、ステレオタイプな知を反復することである。この受験勉強は知識のフェテシズムである。この罠にはまらないように、私立学校は教育活動をするのであるが、それは単純な受験勉強システムに対し、質を持続可能にしようという目に見えない教育活動でもある。

☆それゆえ、理解者を増やすことがなかなか難しい。私立学校の連帯は極めて重要だし、私立学校の教育の質をきちんと取材する組織づくりも同時に重要である。前者は中高協会が中心となって連帯を強めている。

☆後者も同協会で行っているが、第三者の表現も重要な部分である。この組織をつくる酔狂な経営者はなかなかいない。受験市場の中から、この拠点を作ろうとする経営者があらわれるしかないのであるが・・・。

☆ないものねだりをしていてもしかたがない。とにもかくにも、2012年は、受験結果だけではなく、様々な問題が噴出する。それに備えている学校を選択することが、受験生側にとっては重要であるのは言うまでもない。

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