私学人 時代の要請を受けとめられる教養エリート[01]
☆受験市場と私学市場の決定的な違いは、利益追求マーケットなのか公共的マーケットあるいは、ソーシャルマーケットなのかの違いである。
☆私学人から話を聞いていると、私学は学習指導要領プラスアルファーを実践しているという戦略的言説を耳にする。これはかなり控えめに言っている。だからこそ戦略的であるのだが、本音は学習指導要領が私学教育のプラスアルファーに過ぎない。
☆そのことが受験市場や教育関連市場はわかっていない。もちろんソーシャルな点はCSRという活動があるぐらいだから、わかっているつもりになっている。彼らにとって、私学が果たすソーシャルな部分や公共圏的な話は、学習指導要領プラスアルファーという私学人の言説を真に受けている。
☆だから、利益追求マーケット的には、話題を共有しておけばよいのである。活動をする必要はない。
☆しかし、この利益追求型マーケットは、日本の学校文化においては、実はまったく普遍的な領域ではない。特に私学は、この普遍的な人間の条件をベースにした世界観を自律した生徒といかに共にするかを考えてきたし、今も追究している。その意味で公共的でソーシャルなマーケットを形成しているのである。
☆利益追求型マーケットが、私学の公共的/ソーシャル型マーケットと違うのは、国家の税金をも取り崩そうとするかどうかにある。前者は使えるものは何でも使えとばかり財源出動を大いに利用するし、後者は最低限確保につとめ、自律の道を探る倫理的なマーケットを形成している。
☆私学助成金の本当の問題は、マーケットの作り方の問題だったのである。
☆それはさておき、公立学校は前者のマーケットに飲み込まれている、いや本当のところは、そのマーケットを自分でつくっているともいえるのである。
☆それを政府側から、ここにメスを入れようとする意図が見え隠れしているのが、鈴木寛副大臣の動きである。しかし、もちろん、残念ながら、鈴木寛氏がキャッチしている時代の要請の声を共に聴く政治家も熟議に集まってきている学者も大衆も今のところはいない。
☆本当は私学人こそ聴く耳を持っているのだが、政治家たるもの、いやいやなんといっても文部科学副大臣がゆえに、私学のことを前面に出すことはできない。だから、私学人との公共圏での対話はそう簡単には実現しないだろう。それができない公共圏は公共圏では実はない。なんという表現の自由に制限がかかっているのだろうかと不安になってしまうが、ともあれ、鈴木寛氏がどんなにハーバーマスやアンナ・ハーレントの思想を(テレビで言うことはまずないだろうが、熟議やフォーラムなどではがんがん語っている)語っても、それが時代の要請だと感じる人は私学人以外ではまずいないだろう。
☆せいぜいスズカンさんは学者だし、博学だねぇ、能書きは役にたたないのにねぇなんて語られるのがオチである。得意の能書きはいらないと考えることを拒否する、思想の自由を抑圧する雰囲気が日本には蔓延しているのである。
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