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筑駒・澤田先生の「作文ワークショップ」[03]

筑駒・澤田先生の「作文ワークショップ」[02]のつづき。

☆前回は、添削指導のプロセスの問題点を中心にみたが、今回は添削指導におけるテキストの範囲や書くフォームの画一化、評価などの問題について、澤田先生がまとめている表を紹介しよう。

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☆添削指導で選択されるテーマは、受験勉強に役立つものに限定されるし、テーマは教師が与える。しかも専門的で高度なもの。入試で減点されない文章を目指すため、個性のない文章ができあがる。これはオリンピックのフィギュアの演技で、ミスをなくすことに専念するあまりクリエイティブではない演戯が高得点をとってしまうジレンマ問題と類似している。

☆評価をABCランクでつけると、生徒は結果ばかり気にしてしまう。どうしてそういう得点になったのか、振り返ることをしないということか。

☆要は添削指導が受験指導という場に限定されるのが問題だということだろうが、それはそれで、受験という現実的領域では大いに効果を上げているというのは見逃せない。

☆表現の編集能力を育成する方法は「作文添削」から「作文ワークショップ」でよいが、入試のときには別であるということになるのか、「作文ワークショップ」で入試も対応できるというのかは、少し難しい問題である。

☆これはプロジェクト学習は大学進学に役に立つのかという批判と似ている。アメリカの西海岸にある超有名プレップスクールであるケイトスクールやチャドウィックスクールは、いつもこの批判を浴びるが、実際スタンフォード、ハーバードなど多くの有名大学に進む生徒がほとんどだから、意に介していないが、それはプロジェクト学習のおかげなのか、もともと持っている富裕家庭層の遺伝子なのかは証明されてはいない。

☆同じように、筑駒だから「作文ワークショップ」でいけるんだよという諦念にどのように回答するのかは、難しい。

☆しかし、筆者自身の体験から言って、もちろん澤田先生のように体系的にワークショップを構築していないが、同じような授業展開が功を奏するという実感はある。

☆というのも、澤田先生のまとめている問題点を改善すると、コミュニケーション、最近接領域の視点、知と倫理の発達段階の視点が、生徒と共有できるようになるからである。表現の戦略そのものを共有できれば、ディスカッションがスムーズになるし、それゆえ好奇心・モチベーションは高まる。問題意識が強烈にあれば、論理展開は平板でも、微妙な差異の発見が読み手に感銘を与えることができるようになるものだ。受験をカバーし、なおかつそれを乗り越えることは可能である。

☆この点については澤田先生の「作文ワークショップ」の構造や展開をみれば納得がいくはずである。ひきつづき見ていきたい。

*「知と倫理の発達段階の視点」とは、PISAの読解リテラシーの“Proficiency Levels”にも通じる。今のところ専門的にはきちんと取り扱われているが、教育現場やマスコミレベルでは、習熟度という難易度のスコアだけが問題になっていて、各レベルの生徒の思考作業のスキルやプロセスの内容に関心が払われていない。これは「作文指導」のみならずあらゆる教科指導が受験に限定されてきたので、スコアばかりが気になる社会になってしまっているということなのかもしれない。参考までに、PISA2009のOECD報告書から、“Proficiency Levels”に関する表をご紹介しよう。

Pisa09

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