共立女子ルネサンス2012
☆本日5日、共立女子の説明会が開催された。日能研の模擬試験の会場として活用されていた中での説明会である。つまり、日能研のスタッフが入試について保護者に説明したあと、説明するというスタイル。
☆受験市場の真っただ中にあって、どのような表現になるのか興味津津で参加した。
☆1時間で、教頭児島先生は、見事に共立女子の全貌と、さりげなく新しい試みや2012年、つまり完全中高一貫になってはじめての卒業生のときに、受験市場が期待するような大学進学実績が出る予言をするなど、静かな情熱が伝わった。
☆痛快丸かじりな飾りっけのないストレートな児島先生のトークは、私的にはウケていたのだが、なにせ厳かで真剣な受験生の保護者の手前、緊張した表情を崩すわけにもいかなかった。
☆共立女子という理念現実態の教育システムを丁寧に簡明に、明快に述べながら、とはいっても大学進学実績は気になるでしょうからと、現状の高校生の模擬テストの他校比較の結果、入学時における上位校を凌駕する実績が出るのは必至であると。隣りのお母さんがたは、すぐに偏差値表を開いて、こことここかしらと。
☆まだまだ偏差値と進学実績かぁっと思いながらも、このような母としての反応に、ホッとした。いよいよ受験シーズン。このシーズのこの特有の反応を喚起できる共立女子のプラグマティックな対応は嫌いではない。
☆しかし、それにしても、理念と校訓とビジョンを明快に分けた表現力はさすがだ。これは学校案内と資料集でも役割分担ができている。学校案内は、いまここでに集中して編集されているから、ビジョンからはじまるのだ。理念と校訓は資料集にはいっているという感じなのである。
☆理念は、共立女子は創設当初から、「女性の自立」を掲げてきたということを語る役割を果たしていた。つまり、今なら誰でも「自立」というだろうが、125年前に思いを馳せたら、それがいかに革命的なことかわかるでしょうということ。こういう時代を超えたイマジネーションを持てる保護者かどうか。実に受験市場におもねったかなと思わせながら、あまりにひどいマスには興味を抱けない見識を要求したわけだ。
☆校訓はさらりと「誠実」「勤勉」「友愛」と紹介したが、フランス革命と宗教改革以降の理念を継承しているということを、都会的な進取の気性が校風ですねという表現に重ねた。「都会的な進取の気性」とは、市民社会における都市の自由について語る時のキーフレーズである。
☆都市空間のデザイン、都市法のデザイン、都市芸術のデザイン・・・。このデザインをするという意味で「自立」はキャリアデザインを意味するのだと結びついた。
☆だから、学校案内に登場する卒業生も、早稲田の法学部、東工大の建築工学科、芸大の建築科に進学した学生だ。
☆ここの理解は、近代以降の美術史、音楽史の素養が必要だが、資料集に掲載されているシラバスには、ちゃんとそのことが明記されている。
☆それに礼法は躾ではなくマナーであるという話も実にすてきだ。マナーとは身体による認識論であり、これもまた近代の歴史の中で登場してくる知性である。都市の祝祭で必要なのだ。建築空間と身体の動きは実によく連動しているのだから。
☆それにしてもたいへん気になるのは、補講と補習の話のあとに、さらりと、卒業生によるチュータ制があるということだ。
☆今、塾で働きましたというより、学校のチューターで人間力をファシリテートするチャンスを得ましたという方が、インターンシップ的な付加価値がついて、就活のときのアドバンテージになるはず。在校生も卒業生も得するシステムではないか。
☆しかもサバイバルする学校の条件に、同窓力のパワーというのは、社会学的にも証明されつつある。いずれ詳しくお聞きしたい。
☆児島先生が、「要するに簡単にいうと、来春あたりはオトクということですね。2012年に大学進学実績がでたら、偏差値は上がるということです」と静かな自信。グローバリゼーションの津波がやってくる2012年。学校選択は過去の実績ではなく、未来の実績によって判断したい。
☆そういえば、児島先生のトークの前に話していた日能研のスタッフ(途中からしか聴いていないが)は、ステレオタイプな説明を優しそうな表現でしているかと思っていると、最後の方で、入試動向なんてなんぼのものでもないですよとボソッと。ヤルナぁー♪
☆明日に伸びる学校を探すのが、併願戦略のポイントということだろう。
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