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「奇跡の学校」を探せ!

☆NHK「ザ・コーチ」でも放送された灘校伝説の国語教師橋本先生の授業。「奇跡の教室」(伊藤氏貴著 小学館2010年12月)として昨年末出版された。

☆今年の灘中の入試も終わり、17日には合格発表が既に終わっているはずであるが、本書を読めば、灘校選択者は、改めて「奇跡の学校」を選んだと確信するだろう。

☆もちろん、橋本先生はすでに退官されているから、橋本先生が直接授業する「奇跡の教室」はないのだが、橋本流儀を受け継ぐ「銀の匙」の子どもたちが、法曹人、政界人、文壇人、ジャーナリストとして育っているように、灘校にもその文化遺伝子が継承されているということがわかるからだ。

☆本書の構成は、橋本武先生の授業を通しての生き様を書いている本文と各章斎藤孝氏をはじめ様々な仕事についている人がコラムを寄せている部分がある。

☆本文は橋本武先生の授業の中に没入してしまうほどおもしろい.。一方、コラムはわりと学びに関する紋切り型のキーワードで語られて興ざめしてしまうのだが、それがまた面白い。

☆没入して覚めている自分と我にかえって冷めている自分を同時に味わえるからだ。

☆それはさておき、大事なのはコラムである。コラムだけ読むと、「奇跡の教室」という文化遺伝子は、すでに世界中のグッドスクールにある。そのミームを橋本武先生が継承したと読めるからだ。

☆もちろん、橋本先生の「銀の匙」授業は、橋本先生のオリジナルである。しかし、それを復元しようとすることは可能であることがコラムには書かれているのである。

☆したがって、「奇跡の教室」文化遺伝子を開花している「奇跡の学校」は灘校以外にもあるのである。

☆「奇跡の教室」は教科書をまったく教えずに中学3年間「銀の匙」一冊をテキストにして授業する自由があるかないかが重要な条件。

☆一般の公立学校は「奇跡の学校」の条件がない。しかし、公立中高一貫校は、なろうと思えばできる。私立学校はすでに「奇跡の学校」であるところがたくさんある。

☆橋本先生が灘校に赴任した時、今のように東大合格者はいなかった。ところが橋本先生が「奇跡の教室」を決意してからは、東大合格者もたくさん出るようになった。初代「銀の匙」の子どもたちは結果を出したのだ。そして今の東大総長は、3代目「銀の匙」の子どもたちの1人である。

☆まさに奇跡なのだが、橋本先生は別に東大進学指導など意識したわけでなかった。ただひたすら授業する自由、学ぶ自由、考える自由をどこまでも生徒といっしょに追究しただけである。

☆「銀の匙」を読み込んで、わからないことは徹底的に調べた。辞書や本でわからなければ、著者中勘助に生徒と一緒に会いに行った。そこから手紙のやりとりが生まれ、著者中と友情も生まれた。

☆本物の学びとは何か。ぜひ本書「奇跡の教室」を読んでみてはいかがだろうか。そして、「奇跡の教室」の文化遺伝子が開花している「奇跡の学校」=グッドスクールを探してみてはいかがだろうか。灘中も設立当初は、橋本先生でさえその名前を知らなかった学校である。

☆「奇跡の学校」の文化遺伝子のある学校を探したいものである。

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