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産経新聞 中学受験にも不況風 “滑り止め”減少?

☆産経新聞(2011年1月31日)によると、

首都圏の私立や国立大付属中学校の平成23年度入試が2月1日から本格的に始まる。大手進学塾の予測では、受験者数自体は約5万4千人と過去最高水準となるが、1人当たりの平均受験校数は4年連続低下の見込みで、5校を少し上回る程度。長引く不況などで“滑り止め”の受験を減らす傾向が強まっている。

☆首都圏の総定員数は50,000人を超えない。受験生数が54,000人いるのであれば、たとえ併願が減ったとしても問題はないはずだが、受験市場や私学市場の雰囲気は、言うまでもなく楽観的ではない。

☆第一、不況だから私学市場は、それを見通し、もう何年も前から一回受験も複数回受験も受験料は変わらないところが多い。不況だから併願校数が減るという因果関係は、それほど強くないはず。

☆それに、「受験をする家庭は経済基盤が堅く、不況を理由に受験自体をやめる可能性は少ない。ただ、志望校に行けない場合に、レベルを落としてまで私立に行かせる保護者は減っている」というような話も本当だろうか。

☆「レベルを落として」私立に行かなければ、どこに行くというのか。公立しかないが、その公立の教育力がそんなに高いのだろうか。だれがそんなことを測るモノサシを持っているのだろう。

☆受験生が54,000人いるのに、「模擬試験で偏差値45を切るような中学の場合、大学の付属校でも定員割れする可能性が出ている。定員割れは150校に達するという関係者もいる」という結論に到るのは、どこか違うような気がする。

☆どの理由も外れてはいないだろうが、決定的ではない。

☆そもそも54000人という受験生はいるのだろうか?

☆そもそも「レベルを落とす」とはいかなる考え方なのか?この点はジャーナリズム的には慎重に考えねばならない。サンデル教授ではないが、優生学的なネガティブな感覚があるとすると、そこはジャーナリズムとしては批判的な立場に立つのが言論の良心なのではないか?

☆偏差値というのは学校の評価なのか?

☆偏差値はどの集団で産出しても、いびつかどうかはともかく、ベルカーブになる。

☆54,000人(仮に妥当だとしたら)という母集団における偏差値に過ぎない。偏差値輪切りにしている受験指導をしているのは誰なのか?

☆私立学校は多様性を大事にしているのだから、様々な偏差値の生徒が入学しても構わないのである。だから、開成が30%は抽選にするなどという入学試験をやってもかまわないのである。

☆だれが、偏差値の一定の層の集団ごとに学校選択を指導するのか。そのシステムは現実あるだろうが、その正当性も信頼性も妥当性も誰も議論していない。メディアの視点も固定化してきたということか。

☆いずれにしても、この固定化した視点を崩し、多様で新しい視点の創出が喫緊の課題である。そうこうしているうちにこの国はどうなるのだろう。2012年問題は、もう始まっている。

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