産経抄を≪私学の系譜≫で読む
☆産経新聞のコラム「産経抄」(2011.1.8)には、≪私学の系譜≫を考えるヒントがある。『武士道』を書き上げた新渡戸稲造が台湾総督府の技師となったときの話とNHKの次期会長選びの最有力候補とされる慶応義塾の前塾長、安西祐一郎氏の話が対比されている。
☆どちらも私学人であるが、新渡戸稲造は、当時の総督、児玉源太郎に請われ理想論をもってして、台湾経済を立て直した。一方安西氏は、経営陣に会長の交際費はあるのか、都心に居宅を用意できるのか、といった点を質問したという。
☆コラムでは新渡戸稲造のように、安西氏も今後のNHKの理想を語って欲しいということのようだが、どうもそれは的外れではないだろうか。
☆というのもコラムによると、新渡戸稲造は、「はじめ台湾の実情をくまなく調べ、糖業振興の意見書を書こうとした」ということらしい。それをそんことは知っているから理想論をと所望したのは児玉源太郎の方だという。
☆実は、私学人たるものは、経営と理念の両輪を大切にするものだから、闇雲に高邁な理想を掲げて進むものではないのだ。むしろ、そのようなものは能ある鷹は・・・なのである。江原素六ではないが、「衣錦尚絅」なのである。
☆だから実態を調査することは大切なのだ。それには、遠くから見ているのではなく、フィールドワークもやらねばならないし、資金も必要なのだ。
☆新渡戸稲造も遠友夜学校を経営するときに妻の私財を活用したのだ。金なき理念は空虚であり、理念なき金は愚かなのだ。理念は現実であり、現実は理念であるというのが私学人の精神の土壌であり、その精神の継承こそ≪私学の系譜≫に他ならないのではあるまいか。
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