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池上彰さんの撤退ニュースの意味

☆産経ニュース(2011年1月6日)によると、

NHK出身のジャーナリストで、いまやテレビのニュース系バラエティー番組に欠かせない池上彰氏(60)が、今年3月末でテレビのレギュラー番組を降り、特別番組に専念する意向であることが6日分かった。池上氏と親しい関係者によると、「レギュラー番組があるので、ジャーナリストとして海外などに行けず、足を使った取材の時間が取れないのがつらい」と話していたという。また、著書の執筆に時間を充てたいということも理由という。この関係者は「これまで通り、特別番組には出演していくと話していた」としている。

☆このニュースの信憑性がどのくらい高いかどうかわからない。本当だとしても、池上さんをとどめるように、テレビ局側などが躍起となり、結局撤退は噂だったということになるかもしれない。

☆また、選挙の時期になると、候補者として政党から頼まれて、そちらの方向に進むかもしれない。

☆池上さんが悔いのない選択をすればよいのだから、このニュースが本当かどうかは関心がない。ただ、非常に重要なのは、池上さんが本当に言ったのか、言ったことにしたのかはともかく、「レギュラー番組があるので、ジャーナリストとして海外などに行けず、足を使った取材の時間が取れないのがつらい」という言葉である。

☆池上さんの番組の構成は、たしかにわかりやすいけれど、新聞などの2次情報の整理、比較、要約で組み立てられていたということを語っているからである。

☆ジャーナリストとは、「足を使った取材の時間」が重要なのだということが明快に確認されたということは、改めて大切なことである。

☆これは読解リテラシーあるいは情報リテラシーの思考のレベルの問題のことを示唆している。情報としてのテキストが、わかりやすくまとめられたもので、同じレベルの幾つかの情報を、整理、比較、要約するという思考レベルは、3あるいは4レベルである。

☆これはPISAの読解リテラシーの結果でも言えることだが、日本人にとってはわかりやすいと感じるレベルである。そしてそれ以上の批判的思考や創造的思考になると、つまりレベルが5や6になると、多くの日本人は「わかんなーい」となる。

☆だから、今までのマスメディアや広告は、このレベルでおさえてきたのだ。しかしながら、PISAの結果によると、総合的には読解リテラシーのランキングは挽回できたが、レベル5,6は他の国と比較して優位に立っているという状況ではないらしい。

☆ここを何とかしなくてはという話になっているが、池上さんの撤退理由が、このレベル3や4では満足がいかないという話に重なるような気がする。

☆学識経験者や専門家だけではなく、マスも情報リテラシーや読解リテラシーにおいてレベル5や6に興味を示すようになる時代が訪れたということではないだろうか。

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