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入試問題を視て学校を選ぶ②

☆今年の開成の国語の問いにこのようなものがある。

本文に引用されている俳句「がんばるわなんて言うなよ草の花」の「季語」は「草の花」で、秋の野に咲く名もない草の花のことを指します。この句の中で、「がんばるわなんて言うなよ」という言葉に対して、「草の花」は、どのようなイメージを与える役割を果たしていますか。考えられることを、わかりやすく述べなさい。

☆変化や進歩の近代の価値に名もなき民も巻き込まれてきたことを振りかえる問いかけだとしたら、これはまたすさまじい問題。まさしくサンデル教授の「完全な人間を目指さなくてもよい理由」が投げかけている問題に通じる。

☆エンハンスメント問題である。開成が自らこのような問いかけをするのはなぜだろう?開成の初代校長高橋是清が暗殺されたのは、まさに近代のもうひつとつの価値に挑戦したからだが、開成のアイデンティティ問題というわけか。入試問題の素材にも、がんばるなとひそかにがんばっている矛盾を述べている箇所があるが、なんとも自己言及的なパラドクス。

☆今年の桜蔭の国語の問いにこのようなものがある。

Ⅱの文章は、2030年の新しい暮らしのかたちを筆者が思い描いたものです。ここではⅠの文章の内容がどのように生かされていると言えますか、具体的に説明しなさい。

☆2030年の新しい暮らしは、フェアトレードと新しい公共が染み渡っている生活である。今までの近代の価値とは違う、これもまたもう1つの近代の価値の問題。桜蔭らしい「愛」の問題である。つまりこれも、医学系に進学希望者が多い生徒が入学してくるだけにエンハンスメント問題である。これもまた桜蔭が問いかけるのは、逆説的で興味深い。

☆だから、こんな塾は選ばない方がよい。御三家を志望する生徒は偏差値が高いから記述の問題を出すのだから、あなたはまず基本だよ、記述はまだよいからなんていう雰囲気の塾。

☆だから、こんな学校は選ばない方がよい。うちに入学する生徒は偏差値が低いから入試問題で記述式の問題は出せないんですよなんていう雰囲気の学校。

☆記述は、入試問題の形式に過ぎないのではない。思考の痕跡であり、言論の自由の発露である。偏差値などという今までの近代の変化と進化、優勝劣敗エイエイオーみたいな尺度で、人間を評価するようなところは、2030年社会では望まれていないのだから。

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