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地震・津波・原発の被害が変えるモノ

☆地震・津波による大きな犠牲。これを自然の猛威として済ますことはできない。自然・社会・精神の絆を断ってきた日本官僚近代化が造ってきた価値観を問いなおす必要がある。

☆そして原発事故による被害の拡大。自然の内的循環を無視した表層的環境政策としての核エネルギーの活用。プルトニウムの存在自体、すでに自然ではない。

☆社会の在り方も、その自然の内的循環を結び付ける発想を哲学的だからと無視してきた。自然という内的循環の環境の中に住まう人々が自ら都市計画を立てるチャンスを奪い、合法的に官僚が支配してきた。

☆その目的はGDP競争に勝つためである。化石燃料奪取競争に勝つためである。この優勝劣敗思想が、精神を満たしてきた。負け組は自己責任で、ただ茫然と立ち尽くすしかなかった。だから、風評被害が蔓延する。

☆知識基盤社会だと言いながら、一部の勝ち組の人間が独占し、道具や情報などの知識を共有するチャンスを奪ってきた。にもかかわらず、冷静に判断し、風評被害を自己責任でふせいでくれと。

☆「まほうのことば」ですべてうまくいくみたいな宣伝を流し、原発事故の情報を断片的に小出しにながしていく。しかも保安院という官僚のコミュニケーションは、あまりに戦術的で、人間の存在をいかに守るかというEQ的な雰囲気はあまり感じられない。

☆保安院の審議官の戦術の背景にある官僚的戦略。つまり合法的支配を問い返さねばならない。

☆荒らぶる自然、地震と津波を防ぐことはできない。しかし、都市計画によってある程度避けることはできたかもしれない。海に近い原発があるから安全だという合法的正当化が、荒らぶる自然に対するイマジネーションを精神から奪い取った可能性もあるからだ。

☆精神から奪うとはいかにして可能なのか。テレビをみているとわかる。風評被害を抑えようという戦術は、実は憶測・憶見・予想・想定・仮説を立てるのは専門家で、主観的に考えてはいけないという仕掛けになっている。プルトニウムが外に出ているにもかかわらず、未だに原子炉が破壊されていることはわからないということになっている。はっきりしない限り、専門家は明言しない。だから、素人は専門家の分析を待ちなさいと言わんばかりの審議官や番組の解説である。

☆主観こそ重要なリスク管理のセンサーである。この精神の機能を停止させているのである。計画停電。協力しなければならない状況であることはわかる。しかし、この体制は、合法的支配であり、官僚的発想である。

☆変わらねばならないモノは、この官学的発想、優勝劣敗思想、自然・社会・精神の分断価値観である。

☆変わらないコトは、1人ひとりの人間が、自律して情報を自然と社会と精神から収集し、整理し、判断する根拠を創ることができることである。この循環を自律情報生態系と呼ぼう。

☆明治以来、官僚は、優勝劣敗進化論を推進した。それに対し、牧野英一ら私学人は、自律情報生態系という自然法のエニグマを拓いていく進化論で対抗した。実定法の進化ではなく、自然法と実定法の統合の進化である。これを自由法論と牧野英一は呼んだ。

☆中東や東アジアでは、合法的支配から合法的合意へという市民革命が生まれている。欧米はそれを推進している。しかし、合法的合意のその法発想は、実定法主義である。

☆今後、自由法論的合法性が重要である。

☆1人ひとりが自律情報生態系として自然と社会と精神の循環を取り戻すコト。これが時代の要請であろう。

☆民主化のビジョンは、合法的支配から合法的合意へ、合法的合意から自由法論的合意へとバージョンアップしていくことが肝要。

☆エネルギー革命は、化石燃料から核エネルギーへ、核エネルギーからクリーンエネルギーへ、クリーンエネルギーから人工光合成へ。

☆コミュニケーション革命は、発信専門知的客観性から受信市民的主観性へ、受信市民的主観性から熟議的間主観性へ、熟議的間主観性から地球規模的自律情報生態系へ。

☆東北関東大震災、中東の市民革命、ドイツの政権動揺、フランスのサルコジ政権の動揺、ロシアの理系重視の動きなど、現象は違うが、変わらないコトへ進化するために、変わるモノを問い返している活動として同根源的なのではあるまいか。

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