語り継ぐ幻の「新しい学びフェスタ」第1回
☆「この音声テキストは、根拠を幹の事実とするか、筆者の感じ方を幹の事実とするかによって、リポートの方向性が変わります。どちらを幹にするか迷いました。」「そう何を主たる事実とするか、事実とは何なのか。そこを考えることが重要であるということにたどり着きましたね。明日はそこをどのように決定づけるのか、さらに体験を積みたいと思います。では、明日の振り返りのために、アンケートを・・・。」プログラムが始まって、82分3秒が経ったとき、つまり14時46分に、教室空間がゆがんだ。
☆ベネッセの講師と先生、そして生徒たちは、机にもぐりながらも、動ける状態にして、外に出るタイミングを見ていた。その後、キャンパスの芝生にでて、余震を避けた。そのときは、震源地は神奈川のどこかだろうと思ったほど、大きな地震だとみな思った。
☆しかし、すぐにネットやtwitterで、三陸沖が震源地で、震度7だと情報が確認された。自分たちが体感した地震以上に大きいということがわかった瞬間、凄まじい映像をイメージし、祈るような気持ちになった。
☆こうして、昨日11日、慶應義塾大学SFCキャンパスに、「新しい学びフェスタ」のために集結していたメンバーは、教師、生徒、そしてスタッフを合わせると500人はいただろう。本日朝まで、皆キャンパスの各棟で一夜を過ごすことにした。
☆携帯電話など電話回線はつながりにくかったが、今回の主催者の1人、慶應義塾大学環境情報学部の長谷部教授を中心に、ネットとテレビ、そして非常回線を使って情報を収集し、速やかに生徒の安全確保の方法を組み立て、本日12日の「新しい学びフェスタ」のフィナーレを中止する決断をした。
☆その日は、Θ館ホールでロボット大会が開催されていた。私はε22の教室で、ベネッセの新しい学び「思考表現行動の基礎」というプログラムを見学していた。今までの「読解―記述」プログラムは、「作者と事実」の内容理解が中心だったが、今回のベネッセのプログラムは「コミュニケーション行為による間主観的な合意構築」モデルで、たいへん興味深いプログラムだった。フェスタのフィナーレで、そこに挑むためのプレ講座だった。
☆このプログラムの参加者はロボット大会に比べれば20分の1くらいだったから、Θ館ホールでは、もっとすごい状況だったと思うが、とにかくみな冷静であった。
☆「新しい学びフェスタ」は最終日を迎えることなく、幻となったが、長谷部研究室の大学生、NPOカタリバのスタッフ、ベネッセコーポレーションの教育事業本部の開発部部長と経営企画室室長率いるスタッフが、先生方と協力して組織的な動きをしていたのが前面に見える化された。その組織力と機動力があるからこそ、このような前代未聞の「新しい学びフェスタ」を企画・実現できるのだと改めて実感・体感できた。
☆そしてこの組織力と機動力は、常に瞬時に集まりミーティングを繰り返す「熟議」がベースであるということも。「熟議」が機動力と化するとき、組織はなんと柔軟に機敏に動くことか。
☆夜中の間に、12日中止の連絡をメールで行っていたら、いずれの学校でも、校舎で生徒と一夜を送っていて、お互いにがんばろうというエールを送りあうことになった。多くの人々が帰宅困難者になったのだから、学校も例外ではなかったわけである。
☆そして、多くの方が亡くなられた。亡くなられた方だけではなくその親族の方々の心の痛みは測りしれない。また帰る場所を失い避難所にいる方々の痛みもあまりに深すぎる。痛みから癒される日のはやく来ることを心からお祈り申し上げる。
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