中央大学横浜山手中学校・高等学校の学びの構造
☆来週3月8日(火)、中央大学理工学部「段階別コンピテンシー育成教育システム」報告会(就業力育成教育プログラム実行委員会)が開催される。
【日時】 3月8日(火) 14:00~16:00
【場所】 後楽園キャンパス 新3号館 3階 3300教室【プログラム】
■段階別コンピテンシー教育手法の開発(45分)
報告者:中央大学理工学部教授 牧野 光則■学生自己点検・評価システム(仮称)の開発(45分)
報告者:中央大学理工学部教授 鈴木 寿/日本IBM株式会社 倉持 多輝子
☆「段階別コンピテンシー」とは、社会人基礎力だとかグローバル高度人材だとか叫ばれている今日、具体的にそうしたイメージの人材に育つ言語・行動・思考・知識の発達段階、あるいは成長段階のクライテリアあるいはTAXONOMYのことだろう。
☆同大学のサイトで「段階別コンピテンシー」のカテゴリー表を閲覧しながら、この手の発想は、社会学的にはすでにハーバーマスが考案しているが、その実用版ともいえると感じた。また、リベラルアーツの伝統のあるヨーロッパでは、IBのプログラムや評価がすでにそのようなタイプであるし、OECD/PISAのリテラシーのレベル分けも段階別コンピテンシーに似ているなぁと感じた。とそのとき、なるほど、その筋の知人が、中央大学横浜山手中高の教育のベースにもこの「段階別コンピテンシー」の発想が関係していると言っていたことがつながった。
☆横浜山手女子が現在の中央大学横浜山手中高に脱構築されていく過程は、なかなか紆余曲折しているのだが、その過程でIBのディプロマを開発しようとしていた時期があった。今はどうなっているのかわからないが、少なくともそのエッセンスが「段階別コンピテンシー」とシンクロしたのだなとピンときた。
☆聖光学院からなぜ伝説の数学教師である森先生が、中央大学横浜山手の教頭に就任したのか、その意味もなるほど!と今になって了解した。というのも、森先生の数学授業は、まず授業の前に生徒がプレプリントを思考錯誤して痕跡を残した答案を作るところから始まる。そして森先生が添削をしながら、多様な解き方の情報を整理して、そのデータに基づいて授業を展開する。解き方を教えるというより、生徒同士の知の議論なのである。そして関連問題を自宅で考えるように指示する。というサイクルが続くのである。
☆この森先生の手法は形成的評価という生徒の思考の質感を膨らます、質的リサーチの手法の1つなのであるが、この評価によってモチベーションに燈がつくし、それは持続可能になるのである。この中高の手法と大学の今回の手法こそ、今巷で大議論されている高大接続の1つのありかたを示唆するものであり、同時にそれは従来のような外延的接続ではなく、内包的接続という価値の転換を演出しているのである。と思う。。。
☆たんに中央大学の附属になったから急激に人気が出たと思わないわけでもなかったが、なんという本質的なことを実用化しようとしているのか、驚愕した。
☆ごちゃごちゃ言ってきたけれど、要するに、「中高のリベラルアーツ」と「大学の就業力あるいは学問知(人によって進路選択が違うだろうから)」の内的連関の構造を見える化しようという試みなのだろう。
☆そりゃあ、人気がでないわけにはいかないというところか。ところで、私は都合がつかず、参加できない。残念だ。どなたか参加した方は、ブログやサイトで発表の内容を公開してくれると嬉しいのだが。
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