新しい動き③
新しい動き②のつづき。
☆先週、白梅学園清修に共立女子の渡辺校長(共立女子)とかえつ有明の石川教頭、大木先生(教科主任)が訪れた。灘中の伝説の教師橋本武先生の授業についてディスカッションするのが目的であったが、電子ボードや清修の生徒の成長を育む空間デザインの見学会ももう一つの目的だった。
☆3校の共通の特長は、「体験」を大切にし、そこから智慧を汲み取る教育の論理を追究していることだ。
☆橋本先生の伝説の授業は、中勘助の「銀の匙」という一冊の文庫本を中学3年間かけて展開されるところが注目されるが、3年間精読しているわけではない。授業の中に、あるときは他教科の授業とジョイントし、またあるときは作者の家まで訪れインタビューしという「体験」が組みこまれている。
☆校外学習や行事、研修旅行も重要であるが、それを授業の中に組み込むことはなかなか難しい。どうしても教科の授業とは別の取り組みになる。(要素還元主義)
☆いくら体験と授業はつながっていると謳っても、その「つながり=構造」(関係総体主義)を生徒が自力で発見できれば苦労しない。
☆このつながりを追究しているのが3校なのである。だから、互いに議論することにより、手掛かりを見つけ、深めていこうということのようだ。
☆白梅学園清修は、そのつながりを3ステップからさらに進めて3ステップ7ステージ制を開発中である。
☆かえつ有明は、IBの研究の成果にもつながる「サイエンス科」という新しいプログラムを、今年入試問題という形にまで表現するチャンレジをし、来年さらに教科に密接に連動できる手ごたえを感じている。
☆共立女子は、国語と理科と社会の教師が協働して授業を展開している。絵本を生徒と共に編集する過程そのものを授業のプログラムに変換する試みを行っているのである。
☆それぞれの智慧が有効かどうか、「奇跡の教室」の読書会を通して、検証しているのではないだろうか。
☆体験を仕掛ける教師の知のバックボーンはいかにして広げられるのか、生徒とともに体験を楽しめる教師のキャラクターはいかなるものか、体験が大学進学指導にどこまで役に立つのか、体験が小論文に生かされるとはどういうことなのか。
☆熱い議論が繰り広げられていた。体験とは楽しいとか、体験を積み重ねていけば未知との遭遇のときに応用がきくとか、そういう抽象的な議論から、どんどん現実的で具体的なカリキュラムの構造の話になっていった。次回はかえつ有明で対話が行われる予定である。
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