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私立学校と公立学校の違い 「座談会」で③

☆座談会のテーマは、制度的違い、偏差値の違いの次に3つめのテーマに進んだ。偏差値や学力スコア主義で生じる意欲格差だとか自己肯定感をもてる組みと自己否定感を持ってしまう組みの格差を吹き飛ばし、自信を持って学園生活をすごせる教育力そのものの話だ。

☆この違いを理念的に私学の先生方が語ると、我田引水として受けとめられかねない。そこでよいデータがないかなと探してみると、東大の本田由紀教授とベネッセのシンクタンクが協力して分析した「神奈川県の公立中学校の生徒と保護者に関する調査報告書」がホームページで閲覧できるのを見つけた。

☆20世紀型教育を受けていると感じている生徒と21世紀型教育を受けていると感じている生徒の学力観や部活動・行事などの共に生きる感覚の違いが結果としてうまくでているのである。

☆もちろん、このデータは公立中学校の生徒と保護者を対象としているから、公立学校と私立学校の違いがデータ上表現されているわけではない。

☆しかし、公立学校に比較すると、圧倒的に21世紀型教育に近い私立学校の教育だけに、公立の中で生まれている違いが、それ以上に公立学校と私立学校の違いを反映しているのは想像に難くない。

☆そこで、このデータの中から興味深いデータを保護者に提示して、4つの私立学校の考え方を問い返す座談会となったわけだ。

☆しかし、おもしろいことに、4つの私立学校のうち女子校は、どうも最初ノリが悪い。男子校である聖学院は、すでに21世紀型スキル教育を標榜しているから、かえって当たり前であり、盛り上がらない。

☆そこで、それぞれの私立学校に20世紀型教育と21世紀型教育について訊ねるところから3つ目のテーマはスタートした。

☆すると、すぐにわかったことは、20世紀型教育を実践してきたわけでもないし、21世紀型教育を実践してきたわけでもないという、私立学校独自の立ち位置が明らかになった。

☆たとえば、講義型授業は、見た目は20世紀型だが、洗足では違うというのである。中学1・2年の2年間は、そういう意味では20世紀型なのだが、講義型でも21世紀型的教育はできるのだと。それ以上詳しい話は聞けなかったが、女子聖学院にしても富士見丘にしてもそれは同じだった。

☆聖学院は、講義型だけではなく学び合いの授業もすでに頻繁に実践されており、形としても21世紀型であるが、公立学校の言う意味で21世紀型というわけではない。

☆では、それは何かというと、座談会でははっきり表現されなかったが、関係性の転換が起こっているということであろう。それは、具体的な問答の中で明らかになったのだが、どうも教師と生徒、生徒と生徒、先輩と後輩の関係性が20世紀型ではないという意味で21世紀型であるようだ。

☆あるいは情報の共有の仕方が、原発事故で露わになったように20世紀型官僚伝達システムではないということが、大きな違いのようである。

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