「Good Schoolの見抜き方」スピーチの予定
☆あるところから、「Good Schoolの見抜き方」のスピーチを依頼された。昨年はクオリティスクールの探し方について話したが、そのための12の選択指標を保護者が調べるのは、なかなか困難であるため、説明会や文化祭などに訪問した時に、Good Schoolであるとピンとくる方法はないかということである。
☆要するに、グッドスクール方程式、「家庭の高文化資本×学校の高文化資本×創造的能力選抜=新公共的人材の輩出」についてわかりやすく保護者と共有して欲しいというオーダー。
☆いやもっというと、学校の高文化資本を再生産しているかどうか、本音を話して欲しいということ。お金の話ではもちろんなく、教育力をささえる学校の知恵の生産を拡大しているかどうか、食いつぶしているかどうか、廃棄しているかどうかなどどのように見極めるのかということ。
☆拡大するとか、食いつぶすとかは、具体的にそのとき話そうと思うが、これを明確に見極めるには、経年観察しかない。4年、5年、6年といくつかの同じ学校の説明会に足を運ぶということである。すると質の向上している学校、異変が起きている学校の雰囲気がつかめる。
☆あれっとおもったら、見学のときに在校生に質問してみたり、塾に聞いてみたりする。特に塾は保護者の気づきに俊敏に対応するから、自分のネットワークで確かめる。その回答は結構参考になるだろう。あくまでも参考で、クリティカルシンキングの視点=鵜呑みにしないものの見方は重要だ。
☆依頼主とは、私のスピーチだけではなく、2つぐらいのGood Schoolの先生方の話も加え、Good Schoolを第三者側から見た話と当事者の話をミックスしようという話し合いをした。先生方の話の方が実感があっておもしろいだろうから、当日のセミナー的保護者会が楽しみである。
☆それから、結構好評だった「私立学校と公立学校の違い座談会」を7月、9月と別の場所で行う。私立も公立も部活や授業は実践しているから、比較する対象を同じにして、議論しようと予定している。トリガーは、ベネッセコーポレーションのデータを幾つか活用しようと思っている。話をするときには第三者の視点を介在させた方がわかりやすい。プリズムを通すと太陽光を分析できるのと同じである。
☆Good School方程式を満たすのは、実は私立学校にしかないということが映し出されるだろう。もちろんGood Teacherは公立学校にもいる。しかし学校という組織はそうはならない。
☆金八先生やGTO、ゴクセンなどのドラマはデフォルメされているとはいえ、現実から離れているのではなく、構造は現実をしっかり分析している。組織と教師個人の対立は共通構造である。救世主は組織ではなく、金八先生であり、GTOであり、ゴクセンといった個人である。スクール・オブ・ロックやミュージック・オブ・ハートも同構造。もちろん、組織の中で協力者が表れるというのも物語の構造上同じである。
☆その組織が問題なのである。もちろん私立学校も公立学校と同じような組織の雰囲気になっているところもある。そこはもはやGood Schoolから離脱する。
☆それゆえ、Good Schoolの見抜き方は重要になる。もし公立学校のような私立学校を選ぶのなら、公立中高一貫校を選ぶかどうかも考えた方がよいということにもなるからだ。
☆いずれにしても、この行き詰った社会をサバイバルするには、そして人々の幸福を生みだす人材を育成するためには、かつてのように、たんじゅんに公立か私立かではなく、Good Schoolかそうでないか、Good Schoolの場合、どのGood Schoolを選択すべきか、Good Schoolを選ばない場合、公立中学か公立中高一貫校かどちらを選択すべきかという選択の視点がより先鋭化されている時代であることは確かだろう。
☆そして、この選択意志判断の議論が、閉塞状況の日本の突破口を見出すのではないかとひそかに期待している。この意志判断を意識する人のことを革新市民とよびたい。大量消費者から革新市民へ。それに応えるのが21世紀型教育のミッションである。
P.S.
そうれから、経年観察ができない場合どうするか?それは入試制度と入試問題を見ることである。3大模試のような模擬試験型の入試問題を出題しているところはGood Schoolでない可能性がある。麻布や海城学園のような問題づくりにチャレンジしている学校の入試問題が出題されていたら、その学校の教育力の質は向上していると思ってよい。
☆もちろん、たとえば芝や本郷、JGのような入試問題は模擬試験型だけれども、Good Schoolではある。しかし、新設された学校で、受験生の思考のプロセスやステージを見抜き、偏差値ではない力も測ろうとしている学校があるが、そのような学校はGood Schoolである可能性が高い。
☆ただし、そのような問題の場合、新奇な問題で、その学校の持続的な入試問題の知=教育力を映し出していない場合もある。作問者の趣味的あるいは実験的問題である場合は、あまり参考にならない。なぜか?そういう問題が出題される学校は、作問が担当者1人に任されている場合が多い。Good Schoolでは、入試問題は学校の顔であるから、教科内外で校務としてプロジェクトチームが作られ議論というチェックを経て作成されている。
☆制作されるものは、その工程がある。だから、制作物を見れば、その背景の組織の在り方がある程度わかるものである。入試問題の場合、授業力とその授業を形成している組織の在り方が明快にわかる。芝や本郷、JGの入試問題からは、問いのたて方からは授業の形式は古典的であるとなるが、選択された素材というコンテンツからは、力のある教師をそろえる組織があり、組織と教師が信頼しあっているであろうことが視察できる。
☆麻布や海城学園は、コンテンツはいうまでもなく、問いのたて方から21世紀型教育をさらに越えようとしているコンセプトメーカーとそれを支える教養組織が存在しているということが了解できる。この系譜にある学校が徐々にその姿を現わしてきているが、それはいずれまた、きちんと取り上げよう。
☆スポンサーがそれほどお金をださなくなったために、テレビ番組は、元祖たけしの平成教育委員会の焼き直し番組が多くなった。しかし、お金がない時でも、興味と関心があるのは、やはりユーモアと教育なのであるということを映し出していることも確か。問題を評価する視点を革新市民は磨き始めるのは必然である。
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